いくつかの研磨した石175
長野県下伊那郡大鹿村大河原釜沢小日影沢 小日影鉱山の含銅硫化鉄鉱を一面研磨しました.南信巡検から帰ってから思い出して急遽探したところ,小日影鉱山の含銅硫化鉄鉱が出てきました.15年くらい前に小日影沢と釜沢との合流地点付近でサンプリングした石で,標本に幾つかとった跡,残った割り端を一面研磨にしました.
鉱山付近を地質図で見ると中構造線の東側の秩父帯にあたる堆積岩中の含銅硫化鉄鉱床で,すぐ東側を南北に仏像構造線が切っていて,これより東は別の地質になっていました.
上の写真を見たところ凝灰岩か何かを交代したようで,黄鉄鉱と少量の磁硫鉄鉱を含んでいるようでした.
(研磨)硫化鉱物の集合なのですが,黄鉄鉱っていう鉱物は案外硬く,磨り上げるのに時間がかかります.低硬度の珪酸塩でもっと硬い石がありますが,それよりかなり磨り易い集合です.ほかの三波川帯に挟まっている含銅硫化鉄鉱より磨り辛い石と感じました.あとで顕微鏡下での写真を挙げますが,粒間に暗灰色―暗黒色の石英で充填していました.それで硬いのかと妙に納得しました.仕上げは初め青砥でしていたのですが,何とも光沢が出てくれず,いろいろ試したところ,#4000のペーパーでなんとか光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での拡大写真です)
なんとも書きようのない顕微鏡写真になってしまいました.粒間の黒っぽく見える部分は前述のとおり石英でした.6枚目の写真に磁硫鉄鉱らしい微粒でやや赤みがかった金属鉱物が見えています.実際磁石で確認してみると,この部分にのみ磁石が引き寄せられました.
大きな粒の黄鉄鉱の下の空隙を充たすのが,石英です.この部位以外にこれだけ大きな石英が観察できる部分はありませんでした.これでもかなり拡大しています.
この鉱床では閃亜鉛鉱や磁鉄鉱などの鉱物がほかに出ているそうですが,磨った石にはそういった鉱物は入っていませんでした.
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