鉱物の顕微鏡写真70
―ランタン弘三石―
産地:佐賀県唐津市肥前町満越 いろは島展望台付近.(非売品)
Kozoite-La ランタン弘三石
[組成] (La,Nd)[OH|CO3] 直方晶系
[色] 白色・黄色.自然光下では淡桃色,蛍光灯下では緑白色.
[光沢] ガラス光沢.
[比重] 4.16
[条痕] 白色.
酸で可溶.
先日,学生時代にサンプリングした石が出てきました.佐賀県のいろは島展望台の付近で,アルカリ玄武岩を観察しに行ったときにサンプリングした石でした.非常に堅い玄武岩で当然,ハンマー傷だらけでした.上の写真の石も裏側はハンマー傷だらけです.写真はそのうちの一つで,包み紙に「光らない玉滴石」と書いていました.改めて見てみると光らない玉滴石はランタン弘三石でした.当時,この付近の鉱物で肉眼で判別できる鉱物は玉滴石とネオジムランタン石,木村石くらいでした.短波紫外線で蛍光する玉滴がすぐ近くについていたので,サンプリングしたのだと思います.思った以上にたくさんついていましたので,これを洗浄して標本にした際,顕微鏡下で撮影しました.
いつもはじめの写真は海外産で占めていましたが,今回は国産です.海外にもあるのか,少し資料を漁ってみるとアフリカの南で,バラス用に露天掘りで砕石している現場から出ているとのことでした.母岩はアルカリ火山岩の響岩でエジリン輝石やヴィリオム石などを伴うとのことでした.
[以下,顕微鏡下での観察です]
光沢の鈍い真珠のような感じです.背後に板状に見えるのはチタン輝石のようです.
ほかの部分です.球状しているのがランタン弘三石です.
こちらは他の部分に付いていた木村石です.
木村石はこの部分にのみついていました.
サンプリングする発端となった玉滴石の拡大です.無色透明―半透明のぶどう状—皮膜状をなし,かなり広範囲についています.REEが多いのか短波紫外線灯下で結構,光ってくれました.