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鉱物の顕微鏡写真68 ―藍銅鉱―

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鉱物の顕微鏡写真68 

―藍銅鉱―

 

 

 

産地:兵庫県養父市大屋町明延 明延鉱山(非売品)

 

Azurite  藍銅鉱

(組成):Cu3[OH|CO3] 単斜晶系

(色):淡青色・青色・濃青色(肉眼で殆ど真っ黒に見えるものまであり)・帯緑青色ガラス光沢~金剛光沢.

(晶癖):板状結晶・針状結晶・楔形結晶など.

(形態):単晶・皮膜状・放射状・ぶどう状などの集合になる.

(モース硬度):3.5~4

(比重):3.77(3.8とある文献もある)

(劈開) :{011}一方向に完全.{100}一方向に良好,{110}に不明瞭.

(条痕):明青色.

塩酸・硫酸・硝酸・アンモニア・濃重曹で溶解.熱湯で分解.

 

 

 標本整理をしていたところ感じのいい藍銅鉱が出てきましたので顕微鏡下で観察していました.ついでに写真に撮りました.銅を含む鉱脈鉱床の酸化帯などに比較的普通に産する二次鉱物です.当初は海外産で始めの写真のところに持って来ようと思っていました.海外産の標本は非常にたくさんの形態があり,拙ブログでは紹介しきれないと踏みました.今回は国産の標本から選りました.

 

 標本の産地の明延鉱山は超有名な鉱山ですが,標本を得た場所は何とも言いようが無い,川原の中の鉱脈露頭の酸化帯です.鉱山内の鉱脈の一つと思われる脈で,大水が出たら無くなってしまいそうな小さな露頭よりサンプリングしました.サンプリングは9年くらい前のことで,数年前の台風で出た大水の後,護岸工事をやっていたのもあり,現在も露頭が存在するかは確認していません.

 小さな露頭でしたが,鉱物種のバラエティーに富んでいました.母岩は凝灰岩が変質し緑色岩化したボロボロの石で,この母岩を多少鉄分で黄ばんだ石英脈で切っていました.石英脈を中心にして両盤が二次鉱物で覆われていました.ちょっと観察した限りでは,自然銅・赤銅鉱・二酸化マンガンの鉱物・孔雀石・水亜鉛銅鉱・水亜鉛土・石膏・白鉛鉱(硫酸鉛鉱かも?)・ブロシャン銅鉱・異極鉱などが観察でき,初成鉱物は黄銅鉱・斑銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱・磁鉄鉱・鉄重石などがみられました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

中央の灰緑色部は緑泥石系の鉱物.

 

 

 

 

 

 

単晶の見られる空隙の拡大です.緑色は孔雀石.

 

 

こちらは別の部分に付いていた単晶の見られる空隙の拡大.

 

 

母岩の割れ目に,ビッシリ付いた結晶の拡大です.茶褐色の部分はアロフェンなどの非晶質物質と思っていましたが,上の写真の部位に隣接する空隙を観察したところ菱鉄鉱でした.

 

結晶が集まった部分の拡大です.結晶がうまく写ってくれると期待しましたが,うまく写りませんでした.

 

 

 

 

(そのほかの産地の写真です)

 もともとあまり二次鉱物が好きでないので,藍銅鉱の標本は限られています.以前に少し紹介したものも再度,撮影しました.

 

産地:大阪府箕面市上止々呂美梅谷 川浦鉱山(非売品)

 超丹波帯の緑色岩と流紋岩質溶結凝灰岩が貫入したところにある鉱脈鉱床です.随分古くから採鉱されていた現場です.南西方にある鉢伏山の尾根付近に,坑道が陥没したような凹地が諸所に見られました.上の標本は数年前にハイキングで訪れたときに鉱山の横に流れる沢で一つサンプリングしたものです.表面に緑が吹いていたので,気になって表面を欠いたところ藍銅鉱が出てきました.

 

産地:島根県邑智郡美郷町吾郷竹 銅ヶ丸鉱山(非売品).

 この標本は購入品です.一目見たときに,一面に目の覚めるような濃色の藍銅鉱が付いていましたので,衝動買いしました.標本は長柱状の結晶が箒状に集合した藍銅鉱で,俄かに緑色がかった水色で微細な針状の炭酸青針銅鉱を伴っていました.

 

 

 

 

 


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