いくつかの研磨した石159
大阪府茨木市銭原車川庄の珪長質ペグマタイトを一面研磨しました.当地は銭原のチタン鉄鉱の産出で有名になった現場です.文献によっては直閃石ペグマタイトとあったりします.何度か行きましたがよくわからない産状の現場で,超丹波帯の砂岩ホルンフェルスを切る珪長質岩脈という感想でした.
上の石は9年ほど前に当方が訪問した際にサンプリングした石です.民家のある所から背後の棚田についている道を登って行くと遺跡の案内板かあり,ここから入りました.遺跡まではそんなに距離はありませんでしたが,遺跡の手前に尾根の登る径があり,右折して谷沿いを登ってくと,ザレ場に着きました.現場はこのザレ場で,年月を経て堆積した崩土と落ち葉で単なる斜面にしか見えませんでした.
このブログを始めていつかこの訳の分からないペグマタイトを磨ってみようと思っていました.イイ感じにチタン鉄鉱が入っている石が手元に無く,標本を探しているうちに,一つ出てきました.
上の標本がそうで,標本の正面に角閃石類を切る脈としてチタン鉄鉱が最大長さ42㎜,厚みが11㎜ありました.裏面にまで入ってきていそうでしたので,裏面を一面研磨しました.
(研磨) 風化した角閃石中のチタン鉄鉱でしたので,簡単に磨れると思い一気に磨り上げました.角閃石はかなり分解しているらしく,磨っている過程でポロポロと取れていき,ところどころ凹部になってしまいました.角閃石が直閃石なら変質すると滑石相当の鉱物になるはずなので,部分的に滑石になっているのかもしれません.あまり深磨りすると薄っぺらくなってしまうので,中途半端でしたが,仕上げの過程に移りました.
砥石を替えて終始,青砥で磨りました.やや硬い青砥でないと研磨カスが凹部に溜まって取れなくなりそうなためで,時間はかかりましたが何とか磨り上げました.
(以下,拡大写真です)
中央の黒色の鋸の歯のようになっている部分の中央にチタン鉄鉱が入っていました.薄い層しか出ませんでしたが,裏面まで貫通しているようです.
粗粒角閃石類との境界付近の拡大です.黒い部分は結構硬い物質だったようでこの部分だけ変質していないようです.文献に記載のある頑火輝石はこの部分かもしれません.
チタン鉄鉱の一部に粒状の磁鉄鉱を確認しました.もともとここのチタン鉄鉱は磁石に反応する石で,どこかに磁鉄鉱がいるはずと思っていましたが,肉眼では判別できませんでした.ようやく存在が判りました.
この産地の産出鉱物は磁鉄鉱・チタン鉄鉱・頑火輝石・普通角閃石・直閃石などがみられました.
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