いくつかの研磨した石150
京都府京都市右京区京北井戸町姥ヶ谷の頁岩を一面研磨しました.先日行った河原付近の露頭からサンプリングした石です.サンプリングした地点は丹波Ⅰ帯とⅡ帯との境界付近で,僅かにⅠ帯に入るところのようでした.頁岩というよりもマンガン鉱床でよく見る黒鉛盤のような外観でしたので,研磨してどうなっているのか見てみようと思い,サンプリングしました.研磨にまわしたこの石は黒色頁岩に石英や方解石様鉱物などの脈で切られていました.硬度の差でどういう風になるのかひとまず磨ってみました.
研磨面では無い面.
(研磨)頁岩自体はそんなに硬い石では無いので,問題はそれを切る石英脈などでした.磨っていると脈自体が細い所為もあって案外簡単に磨れてくれました.青砥で仕上げをしたのですが,やはり石英脈と頁岩本体との硬度の差が出て,群ができてしまいました.凹凸が分からないように工夫して仕上げました.
(以下,顕微鏡写真です)
白色部は石英脈.
黄鉄鉱が含まれている部分です.レンズ状をなしていて磁鉄鉱を含むためか,磁石に少し反応がありました.
レンズ状黄鉄鉱の部分の拡大です.肉眼判定では磁硫鉄鉱が混じっているように感じました.
頁岩中に石英に包まれて黒色の鉱物が含まれていました.針で突いでみると凹んだり粉末が出たりなどは無く,ただ硬い感じがしました.標本のほかの部分にもついていないか,確認していると石英脈中に同様の部分があって,そこを観察したところ閃亜鉛鉱でした.改めて顕微鏡でこの部分を拡大すると,一部が研磨中に割れたのか,顕著な劈開が見えていました.閃亜鉛鉱のようです.
一番はじめの写真の右下当たりを切っている脈の拡大写真です.黄ばんでいるところは主に重晶石からなっていて,ほか少量の石英を伴っていました.
6枚目の写真の端っこのほうの拡大です.前述と同様に黄ばんで見えるところは重晶石です.重晶石脈の中に緑色味を帯びた三角形の鉱物が入っていて,これが何か判りません.正四面体のようにも見える.岩石中に珪酸はある程度あるし,硫黄分も十分ありそうだし,鉄分は黄色に重晶石が染まるくらいだから大量にありそうなので,考えられる鉱物はデーナ石系の鉱物か? 不明鉱物です.
(以下は研磨面では無い部分の拡大写真です.)
黒色頁岩に灰色の泥質岩が挟まっていて,その中の空隙にあった方解石の結晶です.白色の粘土様鉱物を伴っていました.
こちらは方解石の入っていた晶洞の傍を切る石英脈の空隙中に入っていた黄銅鉱の結晶です.かなり小さいです.この黄銅鉱の左上あたりにもっとサイズの小さい硫砒鉄鉱が付いていました.こちらは小さすぎて写真に撮りませんでした.
方解石の入っている部分の拡大写真ですが,さきほど粘土様鉱物と書きましたが,細かい白雲母でした.この細い脈がグライゼンかもしれません.脈に沿って粉末状の白雲母を伴っていました.
研磨していないところの重晶石の脈の拡大です.以前にすぐ近くの現場の重晶石の結晶を掲載しました.こちらは結晶はしていないもののルーペで劈開がしっかり確認できました.
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