いくつかの研磨した石149
奈良県五條市西吉野町勢井 川股鉱山の石灰を挟む含銅硫化鉄鉱を一面研磨しました.以前に閃亜鉛鉱を含む含銅硫化鉄鉱を研磨しましたが,今回は石灰を挟んだ含銅硫化鉄鉱を一面研磨にしました.
秩父帯の堆積岩中の含銅硫化鉄鉱床で,明治の初め頃より採鉱されました.10年くらい前に勢井の県道より鉱山線という名前の林道が選鉱所の前まで伸びていて,名前にひかれて入ったところ,後で調べるとこの鉱山でした.
林道の終点がコンクリタタキの広場があり,東の沢に鉱石が多少見られました.上の標本はその時のサンプルです.表面に二次鉱物が付いていたので,銅分が多いと思って採取した記憶があります.
(研磨)石灰を挟んでいて古生層中の鉱床なので,化石を含んでいたら面白いだろうと磨っていきました.表面の酸化被膜を削り取って行くと,下から石灰が出てきました.その時できた細かい割れ目を観察すると石灰岩ではなく,石英脈に伴われるペーパーカルサイトでした.化石は望み薄なので,平滑になるまで磨りました.ガリ鉱との境界付近に黄銅鉱の粒が多く含まれ,二次帯に部分的になっているのか孔雀石も伴っていました.研磨しているとやはり方解石の部分が先に磨れて凹部になってきました.端を先に磨りこんでから高さを調整しました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真です)
黄鉄鉱の粒が集中している部分の拡大です.
黄銅鉱の粒が分かる部分の拡大写真です.黄銅鉱の周りにこびりつくように入っている緑色部は孔雀石です.やや緑色がかった乳白色部が石英.青色味のかかった灰色ないし乳白色部は方解石です.
黄鉄鉱の粒が集合している部分の拡大写真です.黄鉄鉱の粒を拡大すると明暗が異なる部分があり,のちに磁力テストしたところ,しっかり磁石が吸い付けられたため磁硫鉄鉱が混入しているようです.緑色がかった石英はおそらく緑泥石の混入によるものと思う.
黄鉄鉱を主とするガリ鉱と石英・方解石との境界付近の拡大写真です.暗緑色に染まっているのはやはり緑泥石のようです.
こちらも境界付近の拡大写真です.一部暗緑色石英中に粒の大きい黄鉄鉱が挟まっています.
(以下は研磨面では無い面の拡大写真です)
黄銅鉱.この鉱山の付近の鉱床はあまり黄銅鉱の粒の判る鉱石は少ないようで,ここの産地の標本は石英脈に伴っているものに関しては黄銅鉱の粒が分かるようです.
方解石とガリ鉱との境界付近にあった空隙に産した孔雀石です.川股鉱山は比較的最近まで操業された鉱山で,二次鉱物は望み薄と思っていました.
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