鉱物の顕微鏡写真56
―船岡鉱山の銅以外の鉱物―
ここのところブログの整理を兼ねて,古いものから読み直していました.中途半端になったものも多く,読者からの指摘で,銅以外の鉱物写真もほしいなどを受けて,ちょうど写真の整理も終わったので,ここで紹介したい.
以前のブログと重複しますが,現場は丹波Ⅱ型地層群に胚胎する海底噴気性鉱床(黒鉱鉱床)で,明治の初期ないし大正の中期に操業されていました.鉱区一覧に「大和谷鉱山」の名前で記載があり,船岡鉱山はコレクター間での俗称かもしれません.
産出鉱物
元素鉱物:石墨(非晶質炭素物質)
硫化鉱物:黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・斑銅鉱
酸化鉱物:赤銅鉱・針鉄鉱・石英(石英・碧玉・赤玉・鉄石英)・クリプトメレン・
轟石・水マンガン鉱・カルコファン鉱・ハイドロヘテロライト
炭酸塩鉱物:方解石・孔雀石・水亜鉛土・水亜鉛銅鉱・藍銅鉱・菱鉄鉱・
菱亜鉛鉱・亜鉛孔雀石
硫酸塩鉱物:石膏・重晶石・鉄明礬石・ブロシャン銅鉱・サーピエリ石
燐酸塩鉱物:擬孔雀石
珪酸塩鉱物:異極鉱・ブラウン鉱・ばら輝石・珪孔雀石・緑泥石・ソーコン石?
氷長石・濁沸石
(※ここに挙げる標本は,全て非売品です.)
Black ore 黒鉱.以前にアップした石を再度撮影しました.黒色部は主に閃亜鉛鉱からなっています.ほか少量の黄鉄鉱や黄銅鉱,重晶石などを伴っています.
Jaspar 碧玉(赤玉).鉄分による赤色を呈する.画像の下のほうに黄鉄鉱を伴っています.成形の難しい標本でした.
Todorokite 轟石.二酸化マンガンの鉱物.繊維状や羽毛状の晶癖が出ていることが多く,判別しやすい.混じって塊状になっていると判別は困難.二酸化マンガンを噛んでいるボソボソの緑色岩を割ると入っていることが多かった.
Calcite 方解石.輝緑凝灰岩に伴われるレンズ状をなす方解石です.UVPで深い赤色に蛍光しました.劈開の顕著な方解石です.
Smithsonite 菱亜鉛鉱.亜鉛の酸化帯に異極鉱に伴って産した.黄土色の褐鉄鉱を伴っていることが多い.
Hydrozincite 水亜鉛土.無色・白色の皮膜状をなすことが多く,UVライトの照射で気づくことが多い.黒色は未変質の閃亜鉛鉱.ほか異極鉱を伴っています.
Barite 重晶石.黒鉱鉱床の脈石として産しました.一部に結晶がみられます.
Gypsum 石膏.泥質岩の割れ目より産しました.石膏の出たポイントからはサーピエリ石も産しました.白色―灰褐色のザラメ状部が石膏.
Braunite ブラウン鉱.局所的に産しました.チャート中に黒色金属光沢を呈する小さなレンズ状として含まれていました.ブラウン鉱のほかこの石からは水マンガン鉱や,灰橙色を呈するばら輝石などが含まれていました.
Hemimorphite 異極鉱.ほぼ全体が異極鉱で,皮膜状の水亜鉛土を伴っています.
Allophane アロフェン.銅イオンによるものなのか青色味のあるアロフェンです.現場で全体的に見てこの鉱物と珪孔雀石がかなりの数を占めているようです.
Sauconite ソーコン石? ソーコン石はサポー石の系統の鉱物で,亜鉛を主成分にしています.標本表面のウグイス色の被膜状ないし小塊状をなしています.亜鉛の酸化帯にあり,この鉱物だと云われています.
Laumontite 濁沸石.案外よく見られる種です.亜鉛の酸化帯の裂罅に白色繊維状ないし柱状をなしています.脱水分解するため,もうすでにしているかもしれません.
撮りためた写真は以上です.
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