鉱物の顕微鏡写真55 ―サセックス石―
産地:京都府京都市右京区京北弓削 源大谷鉱山滝谷坑(購入品で非売品)
Sussexite サセックス石(サセクス石)
組成:Mn2[OH|B2O4OH] 直方晶系,単斜の多形あり.
色:無色・白色・灰色・淡桃色・灰赤色・赤褐色・帯赤黄褐色・灰褐色.
光沢:亜ガラス光沢~絹糸光沢.
形態:毛状・繊維状~柱状.
モース硬度:3~3.5
比重:3.30
劈開:一方向に完全.
条痕:白色.
酸に可溶.
もともとSterling mine(USA)の毛状のサセックス石を持っていましたが,母岩に付いているものでは無く,分離された標本でしたので今回は国産品のみの紹介となりました.低珪酸のマンガン鉱によくみられるマンガン硼酸塩鉱物の一つです.上の標本はもともと産出の報告があって永い間探していた標本で,5年ほど前の新春交流会で入手しました.サイズは75㎜×60㎜×20㎜の黒箱にピッチリ入る標本です.サセックス石の周辺はいわゆる「アズキ色炭マン」でアレガニー石や菱マンガン鉱にヤコブス鉱の黒筋が入った高品位炭マンです.どういう訳か二酸化マンガンの染みに囲まれています.標本は4か所のものがあり,4つ紹介したい.
(以下,顕微鏡写真)
上の標本の拡大写真です.淡い桃色を呈し,特徴の繊維状は確認できません.丹波帯の層状マンガン鉱床より産出した標本です.
こちらは上の標本と同じ石の別の部分に付いているサセックス石です.こちらも二酸化マンガンの染みに取り囲まれています.
3枚目の写真の拡大です.わずかに特徴である繊維状が確認できます.
2つ目
産地:東京都あきる野市養沢 神谷鉱山(恵与品で非売品).こちらは秩父帯の層状マンガン鉱床より産出したサセックス石です.10年くらい前に知人より寄贈して戴いたサンプルです.脈状になっているようで,こちらもアズキ色炭マン中に入っています.
5枚目の写真の拡大です.特徴である繊維状が観察できました.この標本も二酸化マンガンを伴っています.
3つ目
産地:滋賀県長浜市木之本町金居原 土倉鉱山東部鉱床(購入品で非売品)
2019年大阪ショーで購入した標本です.標本は75㎜×60㎜×20㎜の黒箱にピッチリ入る大きさです.もともと一つはあったのですが,形がもう一つで成形がしっかりしているこちらの標本を追加で購入しました.産地は美濃帯の堆積岩中に胚胎する含銅硫化鉄鉱床で,一部にマンガン鉱も産しました.
標本の大部分が黒色~黒褐色の微細な繊維状をなすゲイジ石(Gageite)からなり,その一部からサセックス石の白色繊維状が含まれていました.
7枚目の写真の拡大です.かなり拡大しているため多少はぼやけていますが,肉眼では特徴の繊維状を確認できました.
4つ目
産地:三重県度会郡度会町栗原 栗原鉱山(恵与品で非売品)
どのあたりの含まれているのかよくわからない標本で,上の方の二酸化マンガンに近い部分に白色の染みがあり,ここをかなり拡大すると何とか確認できました.白色脈状は菱マンガン鉱.下の方の黒褐色部はゲイジ石(Gageite).
こちらは別の部分の拡大写真です.中央の菱マンガン鉱の周囲にある褐色の微細な繊維状部がサセックス石です.共存する鉱物で黒褐色は前述と同じゲイジ石(Gageite)です.ほかこの標本では茶褐色の脈状をなすヤコブス鉱を伴っていました.
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