鉱物の顕微鏡写真50
―エオスフォル石―
産地:Piaui valley, Tapuaral, Itinga, Jequitinhonha valley, Minas Gerais, Brazil.
(非売品)
Eosphorite エオスフォル石(曙光石)
[組成]:MnAl[(OH)2|PO4]・H2O 直方晶系
[色]:淡黄色・黄灰色・黄褐色・暗黄褐色・赤色・赤褐色.
[光沢]:ガラス光沢~亜ガラス光沢.
[モース硬度]:5
[比重]:3.06~3.08
[劈開]:[100]不完全.
[条痕]:白色.
塩酸・硝酸・硫酸に可溶.燐酸塩鉱物.
マンガン(Mn)とアルミニウム(Al)を主成分とする含水燐酸塩鉱物の一つです.初めてこの石を入手したのは,18年くらい前でした.茨城県雪入山の燐酸塩ペグマタイトの判定に苦労していた頃,秋にあった京都ショーでK先生に判定して戴いた石についていました.はじめは燐酸によって溶脱された石英中にウグイス色のヴァルール石が付いていて,その周りに色を付けた鈍い光沢の曹長石様鉱物を伴っていました.この部分がチルドレン石~エオスフォル石系の鉱物と教えていただいた.
それからしばらくして,ブラジル産のペグマタイトより産した結晶群を購入しました.(上の写真がその標本です) 表面からは見えていませんが,水晶の面に大量に付着していて表から水晶の結晶面は観察できません.裏側にハンマーの打撃で抉られたため水晶が内部にあるように入っていました.ほか細かい白雲母や粘土鉱物などを伴っています.
最近になって美濃帯の堆積岩中より産出が知られるようになりました.筆者は行っていませんが,サンプルを知人に分けてもらいました.帯緑灰色ないし白色・灰色などを呈する緻密なチャートの割れ目に白色の粘土を伴う,濃赤褐色―暗褐色の微細な短柱状として産しました.
[以下,顕微鏡下での拡大写真です]
ブラジル産の拡大写真です.かなり拡大しています.
別の部分の拡大写真です.
以下,日本産のものです.(非売品)
産地:三重県桑名市多度町北猪飼.帯緑灰白色―白色のチャートの割れ目に産するエオスフォル石です.少量の燐灰石や藍鉄鉱・菱鉄鉱・菱マンガン鉱・メッセル石・などを伴っています.
さらに拡大.
別の部分の拡大写真です.
顕微鏡で大きな結晶を探しまわってようやく大きな結晶を見つけて撮影しました.