龍王ヶ岳の水晶
最近になって上の水晶を入手しました.地元の鉱物なので,サンプル集として標本箱に残そうと思っています.南丹市と亀岡市の境界にある龍王ヶ岳には5年ほど前の冬季に渋坂峠から尾根伝いに登りました.尾根筋には白色のチャートばかりが目立っていました.山頂より北の尾根に取って紅葉峠の方へ下りましたが,峠の手前で二酸化マンガンを稼業した「神吉鉱山」を偶然見つけました.紅葉山の尾根筋には砥石を狸掘りで掘った坑道が幾つも見られました.
上の水晶ですが,龍王ヶ岳の南側より産したそうです.尾根の突端部にマンガンを突いたような坑口があってその付近だそうです.水晶は大きな母岩に付いていて,上の石はその母岩より取り出したものです.白色―灰白色塊状のチャートを切るやや粗い黄ばんだ石英脈で,よく空隙を伴っています.割れ目が発達し思うところから割れてくれない母岩でしたが,なんとかモノになりました.空隙を覆っているのは皮膜状の褐鉄鉱です.炭酸塩のこともありそうですが塩酸での反応はありませんでした.
別アングルより.
こちらも別アングルより撮影しました.
現場の南西に大谷鉱山のあった行者山があり,ここと同じような黄ばんだ石英だったので,母岩を刻んでみました.黄鉄鉱や黄銅鉱・閃亜鉛鉱などの硫化物は無く,少量の白雲母と緑泥石,頁岩の断片などが含まれていました.