鉱物の顕微鏡写真49 ―灰長石―
産地:東京都八丈町石積ヶ鼻 (購入品・非売品)・・・顕微鏡でかなり拡大しています.
Anorthite 灰長石
[組成]:Ca[Al2Si2O8] 三斜晶系 テクト珪酸塩鉱物.長石類.
曹長石分子10%灰長石分子90%~曹長石分子0%灰長石分子100%.自形は短柱状結晶.双晶はアルバイト式,カルルスバッド式,ペリクリン式,マネバッハ式・バヴェノ式が知られている.
[色]:無色・白色・灰白色・乳白色・淡黄灰色.結晶内部の包有物により色彩が変化する.赤橙色・黄橙色・赤色・灰緑色・黒色など.
[光沢]:ガラス~亜ガラス光沢.
[モース硬度]:6~6.5
[比重]:2.74~2.76
[劈開]:[001]に完全.[010]に良好.
[条痕]:白色.
[短波紫外線]:暗い赤色に蛍光.産地によって差異がある.
[同質異像鉱物]:ドミスタインベルグ石(Dmisteinbergite)とスヴィアトスラフ石(Svyatoslavite)がある.
天藍石の次は灰長石にしました.西日本に住んでいると教科書に掲載のあるこういう鉱物が近くの現場などで見ることが少なく,縁が少ない気がします.特に近畿地方では新しい時代の火山が無いため,野外であまり見る機会がありませんでした.教科書には掲載のあるものの近くで観れるのは花崗岩中のカリ長石,結晶しているものなどは晶洞でもない限りほぼ見る機会がありません.カリ長石に関しては北部大阪に有馬層群の流紋岩質凝灰岩中に斑晶をなすものが例外的にありました.筆者が初めて火山岩中の灰長石を野外で観察したのは学生の頃で,高速バスで湯布院まで行って由布岳に登ったときでした.マタエと呼ばれる外輪山の鞍部の赤いスコリア質の砂の中から,ルーペサイズの長石が入っていました.観察のみでサンプリングもしていませんでした.上の標本は10年くらい前に購入した石です.サイズは小さいですが,鮮やかな赤色をしています.
産状は玄武岩質岩や火山砕屑岩などの斑晶,角閃石斑糲岩中,スカルン,火山岩中に取り込まれた石灰質岩,高圧変成岩のグラニュライトなど.特殊な産状で隕石中にも産しているそうです.
[以下,顕微鏡下での撮影写真およびほかの産地の標本です.]
産地:神奈川県三浦市三崎町諸磯 油壷海岸.(恵与品・非売品)
分離した灰長石です.交換か何かで入手しました.
産地:神奈川県足柄下郡箱根町塔の沢.(交換品で非売品)
こちらも交換で入手したものです.安山岩中に斑晶として入っている灰長石で,元ラベルには「「自然真鍮?」が入っていて橙色になっている」とのことでした.真偽は判りません.
産地:東京都青ヶ島村三宝海岸.購入品で非売品です.離島標本として購入しました.アア溶岩中の斑晶で白い部分が霜降りのように見えました.接写か顕微鏡写真か迷って2枚撮りました.こちらは顕微鏡写真です.
産地:東京都三宅村赤場暁.随分前にリサイクルセンターでバラバラになった組標本を購入したときに入っていた灰長石です.ほかの標本は小さいのに灰長石だけ大きかった.長さは約38㎜.(非売品)
産地:北海道余市町栄町畚部沢.標本屋で一番よく目にする産地の灰長石です.一番大きな結晶は約30㎜.(非売品)
産地:北海道白老町倶多楽湖.倶多楽湖の外輪山の尾根付近から産したそうです.(非売品)
産地:滋賀県長浜市西浅井町月出.琵琶湖の北岸近くの半島にスカルンで出ていて高校生くらいの時にサンプリングしたものです.(非売品)石榴石やベスブ石・鉄スピネルなどがみられました.灰白色―淡褐色の塊状の灰長石です.(非売品)