いくつかの研磨した石131
大阪府豊能郡豊能町川尻 初谷川上流の旧坑より産した鉱石を一面研磨してみました.初谷川筋へは花粉が飛び出した日に行ったきりで,坑口の前の川原で渓流に引っかかっているのを見つけてサンプリングしました.超丹波帯の石灰質凝灰岩を伴う緑色岩中の接触交代鉱床のようで,灰鉄輝石や緑簾石からなるスカルンが母岩のようです.坑口は登山道沿いに2つ,竪坑2つあり,対岸の壁を回り込んだところに1つありました.
登山道沿いの坑口は見たところこういう感じでした(ペイントで作成).竪坑を2か所設けてあり,掘下ったところから1か所,その東がわよりもう一つ中切と思われる坑口がありました.鉱石は南側の中切と思われる坑口の傍の川原に少しだけ見られました.ほかは流出したのか見つけられませんでした.
(研磨)金属の多い緑色岩なので簡単に削れてくれると思い,磨り始めましたが内部に石榴石が居たためうまく磨れてくれませんでした.黄鉄鉱の多い石は研磨中に,2日くらい放っておくと表面に硫酸鉄を吹き,分解してきました.この石は失敗で,黄銅鉱の多い上の写真の石に換えました.こちらも石榴石が多く入っていましたが,黄鉄鉱が少なく石榴石もそれなりに入っていましたが,粒が揃っているらしく失敗した石のように凹凸が目立つ石ではありませんでした.やはり造岩鉱物の摩耗が早く,石榴石の部分が浮き上がってきました.荒削りはこの程度にしておいて,仕上げをしました.いつも使っている砥石は負けてしまう様でしたので,中途半端に風化している黒雲母ホルンフェルスで仕上げして何とかみられる石になりました.
(以下, 顕微鏡写真です)
黄鉄鉱の多い部分の拡大写真です.ウグイス色のところは緑泥石.
磁鉄鉱の多い部分.鋼灰色の部分が磁鉄鉱.
こちらは裏面を平滑にするために研磨した面を撮影しました.帯黄真鍮色金属光沢部が黄鉄鉱.にわかに赤色味のある真鍮色金属光沢部が磁硫鉄鉱.黒っぽい筋に見えるのは割れ目を充填する緑泥石.
黄銅鉱の多い部分の部位説明.鉱物の組み合わせで灰重石が入ってきそうでしたが,この石には入っていませんでした.
当地でほかに観察して確認した鉱物は,
(鉱石鉱物):黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・斑銅鉱・磁硫鉄鉱・磁鉄鉱
(脈石鉱物):石英・方解石・緑簾石・灰鉄石榴石・灰鉄輝石・緑泥石
(二次鉱物):褐鉄鉱・石膏
などでした.
始めに失敗した石の表面に付く灰鉄石榴石(黄褐色部).黒っぽく見える部分は分解した黄鉄鉱.ここに分解した白い粉状の硫酸鉄が一面に吹いていました.上の写真は撮影用に洗い流した後に風乾したものです.
おしらせ
大阪ショーに出展するためにいろいろ用意していっています.
今年も 4月27日~4月30日に催される大阪ショーに出展します.場所は昨年と同じところ(エレベータの東側の小会場)に出しています.いまのところ何を持っていくかは未定です.