いつくかの研磨した石 124
京都府綴喜郡井手町多賀 多賀鉱山のばら輝石を一面研磨してみました.よく焼けたマンガン鉱床で,駅からも近くよく観察会に利用される鉱山の一つです.この石は数年前に滝を探しに谷に入ったときに下の沢筋で一つ拾いました.滝はありませんでしたが,ヤブの中に遺構などが見られました.
表面はこんな感じでばら輝石が表面に出ていました.成形すると小さくなってしまい,ばら輝石の部分が少なくなってしまいました.ちょっと標本としては中途半端なので,一面研磨にまわしました.
(研磨)
ばら輝石の部分はやや結晶質なので,猛烈に硬いことを前提に裏側を磨っていきました.反対側(写真では黄白色の部分)は肉眼的に菱マンガン鉱のように見え,表面の二酸化マンガンの被膜を削り取ると下からでてきました.研磨面のざらつきが荒磨ぎが終わっても無くならないため,途中で磨るのをやめて顕微鏡で確認すると満礬石榴石のかなり微細な粒が入っていました.石榴石だけ光沢が出てそのほかの部分が先に削れてしまうため,荒磨ぎをやめて仕上げに入りました.はじめは青砥でしていたのですが,砥石が負けてきましたので,中途半端に風化した硬いホルンフェルスに替えました.
(以下,顕微鏡写真です)
帯黄赤褐色部が満礬石榴石.中央のやや暗い帯紅銀白色部は磁硫鉄鉱です.灰白色の脈状は菱マンガン鉱.黒色の粒状は閃マンガン鉱.
黄色っぽい部分も石榴石のようです.
研磨中から母岩の端っこの方に緑色の粒が見えていました.その部分まで約2㎜.ここまでなんとか頑張ってすりました.当初は重晶石か石榴石の類だろうと思っていました.
中央よりやや下の方に緑色の粒が見える.
何となく三角形の破面が見える.ほかの部分について居ないか,くまなくルーペで確認すると三角形の破面がありました.画像ではやや輪郭はぼやけていますが,ヘルヴァイトのようです.当地からはかつて報告がありましたがモノは見たことがありませんでした.周囲の白色部は菱マンガン鉱で,産状は鳴滝鉱山のものに似ていました.
これ以上は拡大できませんでした.緑色の粒の中に入っている黒色部は,顕微鏡下で肉眼で見る限り閃マンガン鉱のようです.
当地で過去に確認した鉱物は,閃マンガン鉱・黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・磁硫鉄鉱・輝コバルト鉱・紅砒ニッケル鉱・石英・ヤコブス鉱あるいはマンガンスピネル・パイロクロアイト・褐鉄鉱・アフテンスク鉱・菱マンガン鉱・重晶石・テフロ橄欖石・アレガニー石・園石・ばら輝石・緑泥石・ネオトス石などです.
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