いくつかの研磨した石106
京都府南丹市美山町向山 中野鉱山のヤコブス鉱の標本の
裏を一面研磨してみました.当標本は10年以上前にどこかで
購入しました.(非売品) 現在の向山大橋の南詰めの橋脚の
たもと付近にあったマンガン鉱山で,普段は大野ダム湖に水没
しているため,事実上行くことができない鉱床の一つです.
あまり標本も出回っていなくてようやく入手したサンプルです.
あのあたりの鉱床はどういう訳かダム湖や由良川の水面に
近いところに大きな鉱床があったようで,訪問できずにいます.
今回は標本の裏面が広く二酸化マンガンの被膜に覆われて
いましたので,この面を一面研磨してみました.
(研磨)テフロ橄欖石を伴うと,元ラベルに記入があり,硬いこと
を承知で磨り始めました.表面の二酸化マンガンは瞬く間に
磨れました.標本の表面には黒色の脈状をなすヤコブス鉱に
挟まれるようにテフロ橄欖石が大部分を占めていましたが,
裏面にはじめに現れたのは,アレガニー石でした.黒色脈状
のヤコブス鉱に沿うようにして,帯紫赤褐色の不定形塊状が
入っていて水に濡れているとこの部分だけならキレイに見え
ました.端の方は分解しているらしく,灰白色の物質になって
いました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真です)
黒色脈状はヤコブス鉱.その周囲の赤褐色部はアレガニー石.
多形のリッベ石は入っているかもしれませんが,肉眼では判別
は不可能です.灰緑色部はテフロ橄欖石.上部の黒色部は
二酸化マンガンからなる酸化被膜です.
太いヤコブス鉱の脈の部分の拡大写真です.濃集しているのか
にわかに緑色がかった黒色をしています.この部分には磁石が
強く吸い付きます.
こちらは塊状のテフロ橄欖石中に入っていた閃マンガン鉱です.
研磨しているときに硫化水素の臭いがしていましたので,予想
通りでした.錆びると褐色に変色します.
標本の端のほうにある,黒色脈状のヤコブス鉱に挟まれる部分で
す.黄色部は石榴石かもしれません.帯紫褐色部はアレガニー石な
どのヒューム石系の鉱物だろうと思っています.赤褐色の部分が不
明でほかのマンガンのヒューム石系の鉱物かもしれません.
おしらせ
本日 HP通販用商品を
4点 追加更新しました.