いくつかの研磨した石98
京都府京都市右京区京北 源大谷鉱山狭間谷鉱床の層状マンガン鉱
を一面研磨してみました.今から15年くらい前にサンプリングしたもので
す.周山街道(国道162号線)の清田の交差点より東に入ると府道366
号になり,道なりに沿って登って行くと狭間峠に至ります.峠の東面に入
口の崩れた坑道が道路に沿って一つあり,この坑道の背後の尾根を越
えた谷に鉱床がありました.結構,通行量が多い峠で,少し手前で駐輪
し,訪問した覚えがあります.坑口は府道に近いところに上下2つあり,
奥にもいくつか坑口があったような凹地が残っていました.鉱石は上の
写真のような石が多く,ハウスマン鉱のような高品位鉱石はあまりなか
ったように記憶しています.
(研磨)半分以上チャートのような外観の石なので,硬いと思っていました
が脈で菱マンガン鉱が切っていて,結果的にはに柔らかかった.仕上げ
は宮川の青砥でしました.
(以下,顕微鏡写真です)
菱マンガン鉱の帯紅白色の脈が切っている部分.
褐色のカリオピライトからなる脈の拡大.灰緑色部は,破面を観察した
ところテフロ橄欖石のようです.中央よりやや上にある帯黄真鍮色金
属光沢をなす粒状は黄鉄鉱です.
顕微鏡で眺めていると,カリオピライトの脈の中に上のような小レンズ
があり,拡大してみると中央に緑マンガン鉱がわずかに残っていまし
た.周囲は緑マンガン鉱から変色した部分のようです.
全体の部位の説明です.
その2
京都府京都市右京区京北 山国鉱山割谷鉱床の低品位マンガン鉱
を一面研磨してみました.館報に記載のあった現場で,空いた時間を
遣って訪問したときにサンプリングしたものです.前述の源大谷鉱山
狭間谷鉱床から南へ一つ尾根を越えた谷にあるマンガン鉱床です.
記載のとおりに行くと,林道分岐のところに少し鉱石溜まりがあり,
あとで確認することにして,先に坑口を見に行きました.谷の上部に
上がる林道の東側法面付近に坑口があった.二酸化マンガンの染
みたような石があまりなく,林道分岐のところでサンプリングしました.
鉱石になるような石はもともと無いようで,上のサンプルの一部に
高品位のレンズが含まれていて,そこに緑マンガン鉱が付いていま
した.パソコンには新鮮なときの写真があるはずなのですが,これを
書くにあたって探しましたが,見つかりませんでした.現標本はすで
に酸化し,黒変しています.上の石は緑マンガン鉱の出た石の一部
で,磨ったらどう見えるのかを確認するために試していました.
(研磨) 珪岩質の石なので,硬いのを覚悟して磨り始めましたが,
予想通り非常に硬かった.砥石が負けているようで,取り換えながら
の研磨でした.仕上げは青砥で充分光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です)
拡大して面白そうな石ではなかったようです.黒色部は割れ目に
生成した二酸化マンガン.白色部は菱マンガン鉱.放散虫のような
模様が若干見えます.褐色はカリオピライトです.
研磨面以外の部位の説明です.