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いくつかの研磨した石95

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いくつかの研磨した石95

 

 

鹿児島県南さつま市笠沙町片浦山神 神代鉱山の灰鉄輝石を一面研磨

しました.学生の頃に博多交通センタービルから鹿児島行きの高速バス

に乗って,薩摩半島の鉱床にいろいろ行っていました.そのなかで,野間

半島の当地だけが加世田で一泊しないと行きつけないと云われ,行けま

せんでした.野間岬の先端付近に結晶片岩や片麻岩・変斑糲岩などが分

布していて,これも一緒に行こうと思っていましたが,結局いけませんでし

た.上の標本は後日に標本屋で入手しました.

 現場に行きつけていませんので,鉱床のタイプははっきりと判りませんが,

灰鉄輝石を脈石としている以上,スカルンのようです.購入から10年以上

経って,表面に硫酸鉄の鉱物が一面に吹いていましたので,この面を一面

研磨しました.

 

(研磨)結晶の方向が比較的揃っているため粗削りは簡単でした.表面の

二次鉱物は水洗で簡単に落ち,購入当時判らなかった硫化物が観察でき

ました.それも分解していないところまで研磨をかけました.

 青砥で仕上げは充分でした.

 

(以下 顕微鏡写真と各部の説明)

灰鉄輝石が褐色―黄褐色繊維状部.その粒間を黄銅鉱や閃亜鉛鉱の粒子

で埋めているようでした.分解していた部分は磁硫鉄鉱と黄鉄鉱のようで,

研磨中に観察し取り除きましたので,上の写真には入っていません.

 

 

 

 

 

2つ目

鹿児島県日置市吹上町田尻田代野 松田鉱山のサンプルを一面研磨して

みました.もともとこのサンプルは薩摩の知人より頂戴したもので,どういう

訳か全てチップでした.あとでその話になって伺うと,もともとチップのような

石しか無く,文献には含銅硫化鉄鉱床とあるものの初成的な鉱物は全くなか

ったこと,あるのは珪孔雀石だけだったということを話されました.今から10

年以上前に提供されたサンプルが最近になって出てきたので,初成鉱物が

あるのか,無いのか判断するために一面研磨しました.

 

(研磨)母岩はすでに緑色岩になっていて元の岩石がわからないくらいに風化

しています.光沢と質感は蛇紋岩っぽくなっています.これなら柔らかいと踏

んで一気に磨り上げました.

 

 

 

(以下,顕微鏡写真と各部の説明)

 非常に微々たるものですが,黄銅鉱と閃亜鉛鉱を含んでいました.母岩の

斑晶のような部分は緑泥石に変質しているようでした.

 

 

 

 

 

3つ目

 

熊本県八代市坂本町百済来上山口 久多良木鉱山のカリオピライトからな

る低品位のマンガン鉱を一面研磨してみました.県内では種山石の原産地

である種山鉱山が比較的知られていますが,そのほかの鉱床はある標本店

で八代鉱山のカリオピライトを一回見ただけで,そのほかでは見たことがあり

ません.上の標本はどういう訳か京都市内で催されていた古本市で,古本の

片隅に安価な値段で置かれていたものを,不思議に思い購入したものです.

箱はありませんでしたが,ラベルはあり,「葦北郡百済来村久多良木鉱山」と

簡単なラベルが付いていました.売り手に伺ったら蔵から出てきたとのことで

一緒に水晶を置いていたが,そちらは朝一番に売れてしまったとのことでした.

見た目がお世辞にもきれいなものでは無いので,安価なうえに少し負けてくれ

ました.後日に日本のマンガン鉱床補遺後篇で調べると記載がありました.ほ

かの文献には1942年―44年に金属マンガンを出鉱していたとの記載も見つか

りました.

 大学2回生の時に行ったことのある,グラニュライトがみられる荒瀬の八幡滝

の近くでした.標本名をCaryopilite カリオピライトと改めてつけて,Web上で調

べた直近の地名を付けました.

 最近になって整理しているとこの石が出てきて,座りが非常に悪いことに気

付きました.そこで裏面を内部を確認するためもあって一面研磨してみました.

 

(研磨)改めて,表面がやや酸化しているので,過酸化水素水で表面を洗ってから

研磨に移りました.珪岩が大部分を占めているらしく,磨りだしたら途中でやめる

ことができませんので,一気に磨り上げました.硬かったのですが,割れ目やレン

ズ状の炭酸塩が入っていましたので案外楽に磨り上がりました.

 あとは青砥と,研磨層状チャートで仕上げをしました.研磨した層状チャートで

表面を擦りつけると思った以上に光沢が出てくれます.

 

(以下,顕微鏡写真)

赤褐色―茶褐色部がカリオピライト.白色の脈は方解石のようです.

 

白色部は菱マンガン鉱.磨り始めに二酸化の脈が入っているので,ネオトス石

の変化したものと思っていましたが,磨り上げてみると菱マンガン鉱でした.

二酸化マンガンは菱マンガン鉱より変わったもののようです.

 

こちらは塊状のレンズをなす菱マンガン鉱です.茶褐色のカリオピライトを

伴っています.周囲の帯緑茶褐色塊状部は珪岩.黒色は二酸化マンガン

の染み.

 

中央を横切る脈の部分です.写真では限界でしたが,肉眼では黄褐色

ー黄色の繊維状が見えていました.京都ショーでサンプル購入したもの

に愛媛県神南山の神南石があり,これに似ている..と思っているので

すが,アルデンヌ石かもしれません.鉱床の近くに広域変成岩の分布は

あるかというと,鉱床の少し北の道の平というところに紅簾石片岩の産出

があるようで,もしかしたら..という安易な期待だけがあります.

 

 

 

 

お知らせ

 

本日 HP通販用商品を

 

3点 追加更新しました.

 


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