鉱物の顕微鏡写真13 ―灰重石―
産地:中国四川省平武県 雪宝頂鉱山(非売品)
Scheelite 灰重石
組成:Ca[WO4] 正方晶系
色:無色・白色・灰色・黄白色・淡褐色金剛―ガラス光沢
条痕:白色.劈開:一方向に明瞭.モース硬度:4-5,比重:6.12
辰砂の次は蛍光鉱物として有名な灰重石にしました.タングステンの
重要な鉱石鉱物で,本邦でも1992年ごろまで各地で採掘の対象と
なっていました.
一番上の標本は単結晶で,大きく色艶ともに良く見えましたので,
買い求めたものです.鉱床は資料によると四川省で2番目に高い
雪宝頂(標高5588m)の南東側,標高4500m前後のところにある
という.花崗岩中のいわゆる気成鉱床のようで,鉱石鉱物に灰重石・
錫石・亜鉛黄錫鉱・ブーランジェ鉱,脈石に石英・苦灰石・方解石・
ホタル石・燐灰石・トパズ・緑柱石(モルガナイト)・電気石類などが
あるそうです.
灰重石の鉱床は主に熱水鉱床とスカルン中の鉱床があり,
一部はペグマタイトからも産しました.
以下いつも通り比較用の国産のもので,通常撮影と顕微鏡下で
の撮影です.
産地:山口県岩国市喜和田鉱山.おそらく標本市場で
一番出廻っている有名産地のもの.飴色を呈する結晶群
で,暗緑色部は緑泥石のようです.(スカルン鉱床)
(非売品)
上の標本の顕微鏡写真です.
産地:京都府亀岡市大谷鉱山.地元の産地ですが,
閉山して久しく良品もあまりなかったために,この標本は標本
屋で買い求めたものです.行者山花崗岩体を切るいわゆる
気成鉱床のもので,やや粗粒な石英脈に入っています.
灰重石は飴色の部分です.(非売品)
上の写真の短波紫外線灯下での撮影です.青白く蛍光
している部分が灰重石です.
産地:岐阜県中津川市蛭川田原の石切場跡.田原の
ペグマタイト中に硫化鉱物のような金属鉱物が入っている
変な産状の石を探しているときに見つけて購入したものです.
もともとサンプル程度の小さな破片状の標本でしたので
上の写真は顕微鏡下での撮影です.
灰重石は帯紫褐色の粒状の部分で,白色はカリ長石,
白色鱗片状は白雲母,黄銅色金属光沢部は黄銅鉱,
その周りの帯青鋼灰色部は安四面銅鉱です.写真下部
の暗い金属光沢部は,表面のやや錆びた硫砒鉄鉱です.
(非売品)
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