兵庫県多可郡多可町志手原鉱山の鉱染黄鉄鉱です.多可の妙見山を中心とする間歩群の一番南に位置するビリ𨫤の山です.何度か訪問しましたが,結晶粒の大きい黄鉄鉱が2つくらい産したのみで,ほかに特筆するべき鉱物種が無い鉱山でした.北に糀屋鉱山という似たような鉱床があり,こちらは二次鉱物を含めて十数種類産しています.
余りにも鉱物種がないため塊状鉱っぽいものを探して磨ってみることにしました.坑口前のマウンドで塊状鉱を探したことがあり,上の標本はその時のものです.表面は褐鉄鉱に覆われていていかにも塊状鉱と思わせる石でしたが,磨ってみると鉱染しただけの石でした.
真鍮色金属光沢部が黄鉄鉱で,写真左下の部分に濃集しています.顕微鏡で確認すると母岩の石英に接する部分に非常に小さい粒で閃亜鉛鉱と黄銅鉱が見つかりました.ほかの鉱物はやはりありませんでした.
磨っていない面です.写真中央よりやや右に,黄白色の粉状の鉄明礬石様鉱物が僅かについています.
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