露頭めぐり
九鬼谷鉱山美山坑
京都府南丹市美山町静原
雨が降る前に鉱山の現況を観に回ってきました.京都市内から鯖街道を北上して,東回りで中ノ畑鉱山に行きました.中ノ畑在所は民家の蔵の一部が残存するだけでほかは道標以外は残っていませんでした.谷の入口から奥の墓地までは舗装されていて,その先のダートから奥は下草の生えた道で,蒸し暑く,林道の終点で,引き返しました.
谷の転石に少しだけマンガン鉱石が見られました.カリオピライトと菱マンガン鉱からなる集合がありました.
そのあと,帰り際に九鬼ヶ坂を通ったときに思い出して九鬼谷鉱山美山坑に寄りました.峠の広場から林道に入って尾根の鼻を回り込んだところから対岸のズリがかつては見えていましたが,上流から林道を切ったらしく,マウンドが判りづらくなっていました.
谷の転石にあった低品位マンガン鉱.左右の珪岩に挟まれたマンガン鉱が観察できる.表面の黒色部は酸化被膜の二酸化マンガン.中央に一部それがはがれた面があって,この面を見たところ,パイロクスマンガン石と石英の集合であるようだ.
対岸のズリ.夏草に覆われる.
ズリの一部.黒色の二酸化マンガンが散らばっていた.
閉塞した坑口.十数年前に初めて来たときは坑口の上の方が開いていて内部が伺えた.
ここも埋まっている.この坑口の上方から二酸化マンガンの染みた石が落ちてきていました.坑口のようなものは無く,露頭があったのかもしれません.
谷の上方に向かって左側の坑口.上部だけ少し開いています.
当地では,石墨(準石墨)・黄鉄鉱・黄銅鉱・緑マンガン鉱・石英・二酸化マンガン鉱・ヤコブス鉱・ハウスマン鉱・菱マンガン鉱・重晶石・テフロ橄欖石・アレガニー石・リッベ石?・パイロクスマンガン石・カリオピライト・ネオトス石などが観察されています.
対岸に渡って,足元を見ると,ヤマビルが2匹吸い付いていて,急遽戻りました.煙草の火で焙って引っぺがしました.幸い大きな個体ではありませんでしたが,しばらく出血しました.明延や夏梅で見るものとは違い,5㎜前後の個体で小さなもので発見がやや遅れました.谷の上の方で野鹿の声がしきりにしていましたのでこれの所為かもしれません.
このあと帰路に就きました.