造岩鉱物
顕微鏡写真シリーズにはまず出てこない鉱物に焦点を当てました.カテゴリーばかり増えていっていますが,新しく造岩鉱物のカテゴリーを設けました.
鉱物趣味を永い間やっているとどうしても岩石が判らないと,判別に時間がかかったり,話に着いていけないことがあって,造岩鉱物から始まって岩石へと移行しました.その間に採集したり,購入したりした標本がいくつかあって,それらがたまってきました.ずっと置いていても死蔵してしまうので,少しずつ公開していこうと思っています.
(当ブログ全般に云えることですが,筆者が所有している標本の一部を紹介しています.筆者の学習用および判定用標本のため,販売用商品ではありません.)
鉄橄欖石(Fayalite)
岡山県総社市清音三因小屋 幸山石切場
Locality:Sachiyama granite quarry, Koya, Kiyone-Miyori, Soh-zya city, Okayama prefecture, San-yo region, Japan.
(非売品)
Fayalite 鉄橄欖石
(Fe2+,Mn2+)2[SiO4]
直方晶系.
造岩鉱物は初めは鉄橄欖石にしました.造岩鉱物として橄欖石類で出てくる鉱物のうち,最も見栄えがせず蒐集意欲の湧かない鉱物で,販売会などでほとんど見かけない鉱物です.塊状のことが多く黒くて光沢も鈍く,諸所に分解して磁鉄鉱と角閃石に変質していたり,風化で溶け去って角閃石類と磁鉄鉱の集合になっていて元の鉱物が何変わらないような状態になっていることの多いように感じます.
橄欖石類の鉱物は,同一標本内に共存することはありますが,直接接して石英とな共存しない傾向があるのですが,この鉱物は石英と接して共存しています.
副成分にマンガンを含有するらしく,掃除するときに過酸化水素水で処理するのですが,表面に二酸化マンガンの被膜があるらしく激しく泡が出ます.
上の標本は5年~6年くらい前に販売会で購入した標本です.花崗岩の石切場に出たという鉄橄欖石で,一部にペグマタイトがあるような話でした.こういう場ではほとんど見かけない標本なので,すぐ購入しました.
標本の側面に新鮮な部分が出ていて拡大画像を撮影しました.
色は暗赤褐色~暗茶褐色で,光沢はガラス光沢~油脂光沢の間.劈開は無く,いわゆる貝殻状断口で,近くに黒色鱗片状の黒雲母や鉄分で黄ばんだ石英などを伴っています.全体的に磁石が強く引き寄せられ,磁鉄鉱を多く含んでいるようです.
主な産状は流紋岩~デイサイト,花崗岩質ペグマタイト.など.前者の空隙に産するものは自形結晶のことが多いですが,ライフン石に変質していることがあるようです.ペグマタイトから出るものは上の画像のように塊状のことが多い鉱物です.