顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真196
―マックフォール石―
産地:Manganese mine, Copper Harbor, Grant township, Keweenaw county,
Michigan, USA.(非売品)
Macfallite マックフォール石(マックホール石)
[分類] ソロケイ酸塩鉱物
[組成] Ca2+Mn3+3[(OH)3|SiO4|Si2O7]
[結晶・形態] 単斜晶系.自形結晶は単斜角柱状・断面が長方形に
近い板状・長板状・針状など.柱面に平行に条線あり.
結晶面[100]の繰り返し双晶が知られている.束状・
繊維状・放射状・球状集合などになる.
[色] 灰褐色・褐色・茶褐色・黄褐色・赤褐色・暗赤褐色・赤
色・ワインレッド・灰桃色など.
[光沢] 亜金剛光沢~絹糸光沢.透明―半透明.
[モース硬度] 5~5.5
[比重] 3.43~3.53
[劈開] {001}1方向に完全.
[条痕] 褐色.
[名称] カリフォルニア州のアマチュア鉱物学者でキーウィーノ
半島付近の鉱物の専門家であった
Russell Patterson MacFall(1903-1983)
に因む.
[原産地] Manganese mine, Copper Harbor, Grant township,
Keweenaw county, Michigan, USA.
約2か月ぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回はマックフォール石にしました.本邦でも産出が確認されているマンガン鉱物のうち,いくつかが手元に無く,どういう産状で産するものか,どういう雰囲気のものなのかが現物を見ていないのではっきり判らないという鉱物があります.
そのうちの一つがマックフォール石です.本邦では北海道の若佐鉱山のみ産出が知られています.今までにその標本というのを探しましたが,今のところ見つけていません.
上の標本は去年の大阪ショーで購入したものです.小さなサムネイルボックスに入っていて,白色の石英と方解石の母岩の上に臙脂色の石の花が咲いたような印象がありました.
結晶は角柱状や板状のようですが,放射状集合になることが多いらしく,その延長の球状のものや,それらが集合してぶどう状に近い集合のものもあるようでした.
結晶の集合体の端の方をかなり拡大しました.結晶はたしかに角柱状のように見えました.
原産地はManganese mineで,北米五大湖の一つ,スペリオル湖の南岸より派生するキーウィーノ半島の北東端あたりに位置する.
鉱山の名称から単なるマンガンの旧鉱山かと思っていたところ違うらしく,Manganese Lakeが西方にあって,西の川に「Manganese Falls」という滝があるので地名のようです.グーグルマップで見ていたところ結構立派な滝のようで,下段の滝を構成する岸壁の一部に旧坑が見られた.
鉱山はブラウン鉱やホランド鉱を産した鉱山で,品位が低く採算性がなかったのか,探鉱程度で止めたようです.
マックフォール石の組成の初めにあるCaMnをMnAlに変えるとサーサス石で,広域変成のかかっているような鉱床で方解石がブラウン鉱に伴っている鉱石に見られそう.四国の穴内鉱山の鉱石にありそうなので探してみようと思う.