研磨石
いくつかの研磨した石３０２
奈良県吉野郡天川村五代松鉱山の灰鉄輝石を一面研磨しました．日本式双晶やレモン水晶・灰チタン石などを産している現場ですが，筆者は一度も行ってことが無く，現場は素通りでした．
上の石は知人から購入したもので，古いラベルと共存する硫化が腐って穴だらけになった箱が付いていました．腐った硫化は大部分をハンマーで斫り取って放射状の灰鉄輝石が観察できる大きさにしました．放射状が観察できる面を一面研磨にしました．
未研磨の面．
(研磨)輝石類でできた集合なので，きっと硬いと思って磨り始めました．磨り始めると輝石の一部が角閃石や緑泥石の類に変質しているのか，風化した部分はかなり柔らかかった．内部に進むにつれ硬くなってきて，研磨面が平滑になったころにはかなり磨り辛くなりました．磨り辛いと思っていたら黄褐色の石榴石を含んでいて，これの所為のようでした．
平滑になったら中研ぎし仕上げは青砥でしました．思ったより光沢が出てくれず，研磨チャートを強く擦り合わせると光沢が出てくれました．
(以下,顕微鏡下での観察です)
平滑にしたときにどんな模様が出るのかが愉しみで，いつも磨っているのですが，うまく放射状が出てくれませんでした．
灰鉄輝石(Hedenbergite) オリーブグリーンというか灰緑色繊維状・放射状部が灰鉄輝石で，緑簾石や緑閃石のような鉱物も少量含まれていました.
石榴石の集合している部分の拡大.ルーペでは石榴石の存在はわからなかった.顕微鏡下でようやくその存在が確認できました.
灰鉄輝石や緑簾石・緑閃石・石榴石以外に磁硫鉄鉱と磁鉄鉱・方解石が含まれていました.