顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真192
―ベルトラン石―
産地:Golconda Velha mine, Gorvernador Valadales, Minas Gerais, Brazil.(非売品).
Bertrandite ベルトラン石
[組成] Be2+4[(OH)2|Si2O7]
[結晶・形態] 直方晶系.六角板状・板柱状・角柱状・立方体な
ど.柱面に平行に条線が発達することがある.いく
つかの接触双晶や三連双晶が知られている.葉
片状・束状・放射状・球状集合などになる.ベリル
の仮晶をなすことがある.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・緑灰色・淡黄色・黄色・
淡褐色・淡紅色など.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.半透明―不透明.
[モース硬度] 6~7
[比重] 2.59~2.6
[劈開] {001}1方向に完全.{100},{010},{110}4方
向に明瞭.
[条痕] 白色.
[名称] フランスの鉱物学者,
Émile Bertrand(エミール ベルトラン1844-1909)
に因む.
[原産地] Barbin quarry, Nantes, Loire-Atlantique, Pays de
la Loire, France.
Petit-Port, Nantes, Loire-Atlantique, Pays de la
Loire, France.
ほか,硝酸に不溶など.
ひとつきぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回はベルトラン石にしました.ベリリウムの二次鉱物で小さいものが普通です.おもにペグマタイトや熱水鉱床の酸化帯より産します.
別の部分の拡大です.
雲母に似ていますが光沢がはるかに強く,菱型のものや矢羽根に似た双晶などをすることがありました.上の標本はペグマタイト中のもので,擬六角柱状の微細な結晶が集合しています.母岩は白色ややや粗粒な石英で,少量の野や黄色味がかった白雲母を伴っていました.
以下は国産品です.
産地:京都府亀岡市行者山.(非売品).
行者山のベルトラン石です.20年くらい前に知人と訪問した際にサンプリングした標本です.黄ばんだ石英脈中の空隙に入っていました.すぐ近くの石英脈にやや分解しかかった白色の緑柱石を伴っていました.この集合に伴われるのはほかに錫石と白雲母でした.画像中央の菱型のものや上の方に板状になっている部分がベルトラン石です.ルーペでやっと見えるサイズです.
産地:岐阜県中津川市蛭川田原区の石切場(非売品).
田原のベルトラン石です.母岩から外れた標本はちょくちょく見ますが,これは母岩付きです.知人より目を慣らすためと称して提供してもらいました.もともとエシキン石やルチル・鋭錐石・ホタル石などが出た晶洞だそうで,微細な蛍石が少し付いていました.この集合中にはほかに煙水晶・緑泥石・曹長石などを含んでいました.ベルトラン石は中央の菱型に近い無色―白色の結晶です.土台は曹長石です.