研磨石
いくつかの研磨した石299
ひさびさの研磨石シリーズです.機械を使用せずに手磨りで仕上げしているために最終段階の仕上げまでなかなかいかず,ずるずる引き伸ばしになって年末になってしまいました.今は弁当箱サイズの含銅硫化鉄鉱を9月ごろからだらだら磨っていてそれがなかなか中研ぎまで行かず,サイズの小さいものをやっておけばよかったと,今ごろ後悔しています.
今回の研磨石は前回,漆谷鉱山を見に行ったときにサンプリングした菱マンガン鉱からなる集合で,成形時に出た木っ端を一面研磨しました.表面に緑色の孔雀石がついていたので内部に黄銅鉱や輝銅鉱がもとになっているはずで,磨ったらこのあたりの鉱物が観察できるかも~と思って磨り始めました.
(研磨)平坦に近い面を探してその部分を研磨しました.真ん中がへこんでいてここを平滑にするのに時間がかかりました.菱マンガン鉱が柔らかいので早く高さが合うと思ったのですが,思った以上にチャートや併入してきている石英脈が多く時間がかかりました.
真ん中の凹みが消えて平坦になったら中研ぎに移りました.荒砥で削っているとどうしても削り面に細かい凹凸ができてしまうため,様々な方向に光を当ててルーぺで観察しながら研磨しました.
ある程度凹凸が取れてしばらく磨ると砥石が負けてくるような音がしだす.この音が聞こえると,仕上げの工程に移りました.
仕上げは光沢が出るように中途半端に風化した青砥でしました.少し磨るとすでに砥石が負けているような音がしだして,手が疲れない程度軽く磨って中断しました.
ルーペで観察するとチャートと後から併入した石英脈だけが浮いて研磨され菱マンガン鉱の脈の部分がへこんでしまいました.石英脈が網状に入っているので部分磨きではどうしようもなく,これで終了しました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
白っぽい―淡紅色脈状部が菱マンガン鉱です.赤色に色づいている大部分は赤鉄鉱などの鉄の鉱物だろうと思う.脈石英とは別のチャートの部分に粒々が見えて拡大したところ細かい放散虫でした.
放散虫の集合している部分.小さすぎてどの種類か判別できませんでした.左側の斜めに走る脈は石英脈.
結局は孔雀石の元となった硫化鉱物は確認できませんでした.ほかの部分も研磨しようとやってみたのですが,二酸化マンガンはさっさと磨り切れて,チャートが出だすと硬くなり,表面に思いもしない凹凸ができてそれ以上うまく削れないため中止しました.一部に後から間隙を充填したような蛋白石様の脈があってここが非常に硬く難儀な石でした.