顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真191
―コルバス石―
産地:Paradox Valley, Uravan mining district, Montrose county,
Colorado, USA.(非売品)
Corvusite コルバス石
(組成) (Na,Ca,K)X(V5+,V4+,Fe2+)8O20・6~10H2O
(結晶) 単斜晶系.自形結晶は単斜板状・針状など.繊維
状・皮膜状・塊状集合などになる.
(色) 暗赤色・黝黒色・褐黒色・黒色・灰黒色など.
(光沢) 亜ガラス光沢~油脂光沢.土状光沢など.
不透明.
(モース硬度) 2.5~3
(比重) 2.82~3.02
(劈開) 不明(記載なし)
(条痕) 黝黒色・褐色など.
(名称) ラテン語のカラスの意である「Corvus」(コルバス或
いはコルウス)より.
(原産地) ・Pont No.3 claim, Gypsum Valley mining district,
San Miguel county, Colorado, USA.
・Jack claim, Gateway mining district,
Grand county, Utah, USA.
ひと月ぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回はコルバス石にしました.
今年の京都ショーでよくわからずに購入した標本です.本邦で産しない鉱物は販売用では無く,学習用に買い蒐めているのですが,今現在でそれも426個にまでなりました.
標本は丸箱に入っていて,見た目は木質亜炭のように見えました.元ラベルに「コーブス鉱」とあって,何か金属の鉱物か酸化鉱物だろうと思っていました.
調べると一応ヴァナジン酸塩の鉱物らしく,由来となっているラテン語のカラスの意より,コルバス石と新ラベルに書き換えました.
見た目,木質亜炭のようですが,黄色い鉱物がついていて,産地がColorado州なので何か,ウラン鉱物だろうと思っていました.
黄色いところはカルノー石.黒色でやや光沢の強い部分がコルバス石.
別の部位の拡大.粒状に見えるのは砂粒で,これをコーティングするように産しているようです.黄色い部分はカルノー石かツヤムン石.
上の方の黄色の長柱状の鉱物が何かわからず,後述するパスコ石?かもしれませんが,結晶の形がどうも異なり,別鉱物かも知れません.この画像でコルバス石は光沢の良い黒色部です.
コルバス石はその周囲にあるやや光沢のある黒色部でした.黄色い部分は一部が板状のロゼット状集合をしていて,この部分はカルノー石のようでした,ほかに空隙があって,そこに針状ないし細長い板状の鉱物がついていて,こちらはパスコ石(Pascoite)?だろう.かなり微細なものでそれ以上の判別はできませんでした.
また,周囲の母岩を観察したところ,カルノー石などのウラン鉱物に混じって,青緑色ないし緑青色の皮膜状の鉱物がついていました.黒色の母岩の一部に黒色―鋼灰色金属光沢の硫化と思われる鉱物がついていて,これの分解物と判断しました.当地ではいくつかのセレン化鉱物が知られていて,この二次鉱物はその手のセレン酸塩鉱物なのかもしれません.この青緑色皮膜状の鉱物は前述の黒色―鋼灰色金属光沢の鉱物がついている部分の延長の割れ目にできていて,その一部が肥大して空隙のようになった部分まで連続して続いていました.
ほかにこの標本には石英と赤いメタへウェット石?がついていました.