たきめぐり
寒谷の滝(仮称)
京都府亀岡市篠町広田明神原
今回は近場にしました.京都縦貫道の南の山地は丹波Ⅱ型相当の層で,Ⅰ型より年代が若干古く,滝も多いのですが,この付近は大きな滝は余りない.筆者が子供のころに水遊びをしていた滝で,特に名称も無く「寒谷の滝」と呼んでいました.
旧幕時代に穴太―善峰巡礼古道が滝の傍を通っていて,従来する人の目に留まったと思うのですが,文献を調べた限りでは名前が無いようでした.
寒谷の滝(仮称).落差は3m内外で,上の方は斜瀑様になっていました.それより上流は普通の河原で,この部分だけ岩脈になっているようでした.
上の方.
下の方.
この後,下流の向かいました.上流は寒谷の在所があって,釣り池の傍を通って万寿峠を経て高槻市出灰に抜ける.滝は峠の手前に小さいのが2~3ある程度で,水の無いときはただの段差になっていました.
下流へ40mくらいのところに岩脈が切っていてその部分が渓流瀑のようになっている部分が1か所ありました.
その渓流瀑寄りのところに堰堤のある谷があって,その谷の出合に試掘坑と思われる坑口一つを見つけました.上部に突いたような跡があって,それの下部を探鉱したようでした.
このあたりはマンガン山が多いので,マンガン山だろうと思って転石を観察したところ,黒色頁岩を切る幅のある石英脈が見られました.突いたような跡が尾根筋まで点々とあったので,何か金属を狙ったのかもしれません.
試掘坑と思われる坑口.(入口からフラッシュを焚いて撮影.)
転石で見られるのは普通の石英脈で,特に黄ばんでいるだとか,水酸化鉄鉱物が付いているという感じではありませんでした.
帰ってから資料を調べたところ,篠町内には金銀銅硫化鉄の鉱種で,昭和14年~15年ごろに登録された試掘登録が3つほどしかありませんでした.ほかはマンガンと小規模な炭鉱が知られています.
坑口はこの3つの試掘登録のどれかだと思う.石英脈には肉眼的な金属鉱物はありませんでした.
滝へは,高槻市中畑から万寿峠を越えたら,林道沿いに下り一本道なので,わかりやすいと思う.