露頭めぐり
大阪北摂の鉱山2
引き続いて鉱山リストです.今回は豊能町域です.範囲としては昭和30年代に越県編入した旧京都府南桑田郡西別院村牧と寺田を含んでいます.高山親鉉の北端および七宝山親鉉の中部,奇妙山親鉉の東部にあたり,名称不明の鉱山や,位置不明の鉱山が含まれています.
桐山鉱山 大阪府豊能郡豊能町・兵庫県川西市(銀銅鉱.喜利山間歩・多田鉱山ともいう.一庫ダムのリンドウ橋の東詰の延長付近にあって,鉱区内で大阪府・兵庫県境があるため,本来は兵庫県に含めるところですが,今回は大阪府に含めています.旧幕時代より断続的に稼業されたという.嘉永2年5月ごろに旧坑取明け工事をしたという.嘉永4年3月ごろまでかかったとか.泉屋彦助が銅量僅少のなかほそぼそと稼ぎ,嘉永5年3月で休山した.その後は名月鉱山に移ったという.明治8年に関戸某が再開.その後は所有が転々とした.そのごに隣接する吉川村の多田鉱山の鉱区を合併したそうだ.大正元年ごろに隣接する青出鉱山を合併し桐山鉱山として稼業された.大正の中頃までやっていたようだ.明治43年―大正5年ごろが最盛期だった模様.坑口は金高神社の近くの尾根の岩場に掘下りの竪坑のようなものが3つあって,その下は落差100m以上の広大なズリになっていた.一庫側からの神社の参道に入ってすぐ右手の谷にも坑口が残っていた.初成鉱物はここで黄銅鉱や閃亜鉛鉱などが観察できた.)
妙見鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅硫化鉄鉱.龍徳山鉱山ともいう.明治の初め頃より操業されていた模様.大正8年頃より硫化鉄粗鉱も採鉱していたようだ)
金尾鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.大部分が光風台団地になっている.狸鉱山ともいう.明治の中期に出鉱量が記載されていた)
砂連山桐木鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.明治15年2月ごろに開発されたという.ほか詳細は不明.)
天狗鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.光風台駅の近くにあったという.明治13年頃より稼業されていたようだ.品位は銅平均2.01%.鉛13.2%, 亜鉛17.31%という.)
桜谷鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.団地の造成で消失.昭和10年―11年ごろに操業していた模様.新坑と旧坑という2つの坑口があった.そこから川下に向かって鉱山軌道があって,終点に選鉱所があったらしい.出鉱量は昭和10年に20.7t,昭和11年に8tの記録があった)
花折鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.国道477号の第一花折橋があって,その北東の小渓に黒色頁岩の露頭があって,突いたような跡と,対岸に崩土で入口が見えなくなった坑口を確認した.ズリなどは無く,国道と川の間の僅かな部分に少量みられた.黒色頁岩中に黄銅鉱と黄鉄鉱が観察できた.明治20年に39tの出鉱記録があった.花織鉱山ともいう.)
福原鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱)
桃坂鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.明治43年頃に操業されていたとか.大正6年頃までの出鉱記録があった)
木代鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.高山親鉉の鉱山.大正5年に銅鉱116tの記録があった)
寒谷鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.明治27年頃の稼業とか.銅鉱1.125tの記録があった)
杉立鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銀銅鉱.明治21年頃の稼業とか.銀896g.銅256㎏の生産記録があった)
城山旧坑 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.高山に至る道の南側の谷にあったという.)
杉山鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銀銅鉱)
西山鉱山 大阪府豊能郡豊能町(銀銅鉱.明治15年~20年頃の稼業という.)
初谷川入口の旧坑 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱?.ハイキングコースに案内板が設置されていた.ひ押しのようだ.)
初谷川上流の旧坑 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.光明山の真西の初谷川西岸に3つの坑口があった.対岸の延長にも1つ坑口がある.鉱石は磁鉄鉱に少量の磁硫鉄鉱と黄銅鉱を伴うものだった.脈石はサーラ輝石だった.)
黒川の上杉尾根の竪坑 大阪府豊能郡豊能町・兵庫県川西市(黒川から妙見山に至る参道沿いの脇に竹や雑木で蓋された坑口がハイキングコースの脇にあった.ズリはその手前で,灰鉄輝石に茶褐色の石榴石を伴っていたものが見られた.尻坂銅山の一部か?)
尻坂銅山 大阪府豊能郡豊能町(銅鉱.黒川から妙見参道の入口に水道設備があって,参道を登らずに,水道施設の真横にある谷を登っていくと,5mくらいの直瀑があって,さらに源頭付近まで登り詰めたところに,4つほど坑口が残っていた.ズリはその手前にあった.磁鉄鉱の多い鉱石で,黄銅鉱や磁硫鉄鉱を伴っていた.)
吉川城山旧坑 大阪府豊能郡豊能町・兵庫県川西市(銅鉱?.神社から尾根に取り付いて登っていくと,道沿いの2~3の坑口があった)
花折鉱山.
尻坂鉱山.
吉川城山旧坑の一つ.
妙見参道.尾根の竪坑.
初谷川上流の旧坑.