顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真175
―セリウムアンキル石―
産地:Dark Star group(Dark Star claim), Alta Mineral point mining district,
Ravalli county, Montana, USA. (非売品).
Ancylite-(Ce) セリウムアンキル石
[組成] CeSr[OH|(CO3)2]・H2O
[結晶] 直方晶系.湾曲した面がしばしば観察される短い
柱状.まれに擬八面体.通常は粒状.結晶の表面
はしばしばくすんでいる.束状・放射状・ロゼット状
塊状や粒状集合などになる.結晶は脆い.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・淡黄色・黄色・黄橙色・
淡緑色・淡褐色・桃色・赤橙色・暗褐色など.
[光沢] ガラス光沢~スリガラスのような光沢まであり.破
面は油脂光沢.
[モース硬度] 4~4.5
[比重] 3.95
[劈開] 無し.
[条痕] 白色.
[原産地] Narssârssuk pegmatite, Narssârssuk plateau,
Igaliku, Kujalleq, Greenland.
[名称] 結晶がしばしば丸みを帯びた湾曲した形状になる
ことからギリシャ語の「湾曲」という意の
「ankyros」より.
ほか,酸に容易に可溶.
前回のマンガノ海王石に続きまして,今回はセリウムアンキル石にしました.
上の標本は20年くらい前にN社で購入した標本です.標本全体が赤茶けた感じで,何者かと思って購入しました.しばらく前まではこの赤茶けた母岩の中に入っている黒い鉱物だと思っていました.
最近にラベルを付け替えるために一応,検索かけていたところ,上の産地の標本の画像が出ていて,この赤茶けた部分がセリウムアンキル石だとわかりました.セリウムアンキル石はセリウム(Ce)とストロンチウム(Sr)を主成分とする含水炭酸塩鉱物です.黒いところはユークセン石系の鉱物でした.こちらものちの顕微鏡シリーズに登場してもらおうと思っています.
Web上でさらに検索をかけたところ,Mont Saint-Halaire で空隙より単結晶や束状の集合の画像が出ていましたので,急遽 Mont Saint Hilaire の石を探していたところ,前回のマンガノ海王石のラベルが付いた石を見つけました.
エジリンや方沸石・曹長石などの空隙にマンガノ海王石は結構たくさん見つかりましたが,ピンク色の柱状結晶が束状に集合したセリウムアンキル石はありませんでした.今回は上の標本を顕微鏡下で撮影しました.
ピンク色の部分がセリウムアンキル石です.右端の白色柱状の結晶は石英です.
空隙を探して撮影した見たものの,粒がはっきりしませんでした.ピンク色の部分がセリウムアンキル石です.
赤茶けたと思っていたセリウムアンキル石は顕微鏡下で強い光源のもと撮影したところピンク色の鉱物でした.それから母岩をいくつか白い脈で切っていて,ルーペで観察したところ,重晶石と石英と方解石がありました.