顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真173
―コンドロ石―
産地:岐阜県飛騨市神岡町和佐保伊西新道(非売品).
Chondrodite コンドロ石(コンドロド石,コンドロダイト)
[組成] (Mg,Fe2+)5[(F,OH)2|(SiO4)2]
[結晶] 単斜晶系.柱状・粒状.結晶は常に小さく,大きなも
のは稀.丸みを帯びた粒状のことが多い.結晶は脆
い.ほかに塊状集合などになる.
[色] 淡黄色・黄色・黄緑色・暗黄褐色・黄橙色・橙色・灰
緑色・暗灰緑色・灰紅色・深紅色・赤褐色・褐色・暗
褐色・灰白色など.
[光沢] ガラス光沢~油脂光沢.
[モース硬度] 6~6.5
[比重] 3.16~3.26
[劈開] 無し.あるいは{100}に不明瞭.{001}に裂開.
[条痕] 灰色・白色など.
[名称] ギリシャ語の「chondros」 穀物,粒に由来.
[原産地] Skräbböle quarry(Nordkalk quarry), Pargas,
Southwest Finland, Finland.
[主な産状] ドロマイトスカルン, カーボナタイトなど.
また,産地によって,短波紫外線で黄橙色に,長波紫外線で黄色に蛍光するものがある.
ひさびさの顕微鏡写真シリーズの更新です.今回はコンドロ石にしました.主にドロマイトスカルンから産していて,透輝石などの近くに黄色い粒状で産します.よく似た鉱物に単斜ヒューム石やヒューム石・ノルベルグ石があって,ほぼ肉眼では区別がつきません.
今回は国産品を掲載します.海外産を探しましたが,キレイのものは値が張り,入手しませんでした.
はじめの1枚は神岡鉱山の東方にある伊西新道のコンドロ石です.いわゆる伊西閃長岩質岩中に捕獲された結晶質石灰岩レンズ中に入っているそうです.
もともと古い博物館のラベルがついていて,半腐れの状態になっていたのを改めて書き直しました.
一部を拡大するとこんな感じで,橙色がコンドロ石.右側に反射して光って見える部分が白雲母です.白色は方解石などの炭酸塩.
産地:島根県益田市美都町山本深折 都茂鉱山.(非売品)
こちらは,銅鉱床の脈石として産したコンドロ石です.都茂鉱山は比較的有名な銅鉱床です.見た感じでは方解石などの炭酸塩が無いように思える標本ですが,表面をさっと塩酸で洗ったところ,一部が激しく発泡しました.少量ですが,方解石などの炭酸塩を含んでいたようです.画像の表面にキラキラ反射している部分は雲母や緑泥石で,石榴石のように見える黄橙色―橙色で粒状の部分がコンドロ石です.
顕微鏡下ではこんな感じで,全体的に塊状で粒状になっている部分はあまりありませんでした.