顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真172
―ステラ沸石―
産地:Rössing mountain area, Arandis, Erongo region, Namibia.(非売品).
Stellerite ステラ沸石
[組成] Ca2+[Al7Si7O18]・7H2O
[結晶] 直方晶系.自形結晶は薄い板状~厚い板状・角柱
状・煉瓦状・屋根状など.束状・放射状・繊維状・脈
状・球状などの集合になる.結晶は脆い.
[色] 無色・白色・灰白色・淡黄色・黄色・黄褐色・黄橙色・
灰黄色・橙色・淡紅色・桃色・褐色など.包有物によっ
て色彩が変化.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.
[モース硬度] 4.5
[比重] 2.13~2.12
[劈開] {010}に完全.{100},{001}に不完全.
[条痕] 無色・白色など.
[原産地] Medyny island, Commander island, Kamchatka Krai,
Russia.
[名称] ドイツの探検家・動物学者の
Georg Wilhelm Steller(1709-1746)に因む.
ひとつきぶりです.今回はステラ沸石にしました.カルシウムを主成分ととするテクト珪酸塩(沸石類)の一種です.束沸石を見かけが非常によく似ていて,慣れていないと判別が難しい種です.
はじめの写真の標本は,海外産の沸石類を蒐集していたときに入手した標本です.角閃岩や片麻岩中の熱水鉱床の脈石だそうで,淡い黄橙色を呈する角柱状ないし薄い板状の結晶が小さいながらも群晶していました.
共存する沸石はほとんど無いようで,沸石の母岩を観察すると僅かに石英が見られました.
以下,本邦産の標本です.
産地:長崎県平戸市古江町.(非売品)
光沢の強い板状結晶が集合して,見た目キラキラした外観の標本です.随分前に購入した標本です.母岩は凝灰岩質で黒色の二酸化マンガンを少量伴っていました.
顕微鏡下での拡大写真です.
産地:山梨県大月市初狩 甲州砕石(非売品).
ペラペラした板状結晶が集合した標本です.結晶間の粘土を取りたかったのですが,超音波洗浄や弱酸で処理しましたが,取りきれませんでした.
産地:長崎県平戸市木ヶ津町白戸鼻.(非売品).
提供品です.球状に集合したステラ沸石です.俄かに黄色味があります.
球の断面はこんな感じです.
産地:京都府亀岡市稗田野町大谷鉱山.(非売品).
随分前に購入した標本です.大谷鉱山自体は高温熱水鉱床でタングステンや錫を出鉱していた鉱山ですが,一部に玄武岩質の岩脈があるそうで,その中から沸石類を産したそうです.
拡大するとこんな感じです.かなり微小ですが,角柱状の結晶が確認できました.共存する沸石は母岩を探してみましたが,見つけられませんでした.