蛍光鉱物
蛍光鉱物6
―スヴァブ石・ティラス石―
鮮やかなオレンジ色に蛍光するスヴァブ石を,何とかカメラに収めようと試行錯誤を繰り返していました.周囲を暗くするとカメラのピントが合わず,明るくすると短波紫外線が,周りの光源より弱いので,蛍光が観察できない.1時間ほど格闘して,結局は頭から布団をかぶって撮影しました.
短波紫外線灯(ミネラライト)下での蛍光写真.鮮やかなオレンジ色に蛍光する部分がスヴァブ石です.上部のやや橙色がかった赤色がティラス石です.
スヴァブ石は弗素燐灰石の砒素置換体にあたる鉱物で,Ca5[F|(AsO4)3] という組成の鉱物です.結晶は六角柱状になるらしいのですが,この産地では塊状のことが多いらしく,共存する鉱物が多種多様で,短波紫外線灯があるとなかなか楽しめる産地です.
ティラス石(Tilasite)は CaMg[F|AsO4] という組成の鉱物で,自然光下でも暗褐色~赤い鉱物です.マグネシウムを含む以外はスヴァブ石と共通した元素が入っています.
蛍光灯下での同標本です.上部にティラス石が入っています.あとから気づきましたが,スヴァブ石の一部にヘディフェン(Hedyphane)という鉱物が入っていたようで,赤色味の強い橙色はこの鉱物の様です.
産地:Långban mine, Långban ore district, Filipstad municipality,
Värmland county, Sweden.
(スカルンやペグマタイトを含む複合岩体中の変成マンガン鉄鉱床とのこと)