顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真164
―藍晶石―
産地:Morro Redondo mine, Coronal Murta, Minas Gerais, Brazil.(非売品).
Kyanite 藍晶石(カイヤナイト)
[組成] Al2[O|SiO4]
[結晶] 三斜晶系.自形結晶は板状・長板状・針状など.簾状
放射状集合などになる.
[色] 無色・白色・灰色・灰白色・淡緑色・灰緑色・淡青色
・鮮青色・濃青色・緑青色・水色・青紫色・淡黄色・
灰黄色・黄褐色・橙色・赤橙色・赤褐色・桃色・緑黒
色など.鮮やかな青色の起源はチタンとか,鉄(Ⅱ)
~鉄(Ⅲ)の電荷移動によるなど諸説あり.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.透明~半透明.
[モース硬度] 5.5(劈開面{001}上で伸長方向に平行)
7(劈開面{100}上で伸長方向と直交する方向)
[比重] 3.67~3.68
[劈開] {100}1方向に完全.{010}1方向に不明瞭.
[条痕] 白色.
[名称] ギリシャ語で青を意味する「Kyanos」より.
[同質異像鉱物] 紅柱石(Andalusite),珪線石(Sillimanite)
[産状] 広域変成岩(結晶片岩)・変成ペグマタイト
久々の顕微鏡写真です.今回は藍晶石にしました.同質異像(多形)鉱物で,珪線石と紅柱石とは同質三像の関係にあります.本邦では割と珍しい鉱物ですが,海外は始めの写真のような立派な標本が出回っています.
上の標本は写真撮影用に購入した標本です.板状結晶の中ほどに濃赤色の鉄礬石榴石を伴っています.同じアルミニウムの珪酸塩鉱物です.
ほかの産地をいくつか.
産地:Hålsjöberg, Torsby, Värmland, Sweden.(非売品).
以前に天藍石で紹介した標本の母岩です.現場はアルミニウム原料として閃長岩中の藍晶石を稼業していたそうです.いくらか劈開が見えるものの,塊状に近い藍晶石です.淡い青色~濃い青色の部分が藍晶石です.白っぽいのは雲母で,写真の上の方に,濃い青色の天藍石が写っています.赤褐色―赤色粒状はルチルです.
産地:韓国京畿道漣川郡朔寧面笛音里(非売品)
戦前の標本で,今の地図でいろいろ調べましたが,はっきりしませんでした.変成岩中より産したもので,短い刃状の結晶が集合する塊状の藍晶石です.
こちらは国産品です.四国三波川帯の結晶片岩産する藍晶石の写真を探したところどういうわけか出てこず,関東地方のチップのようなサンプルの写真が出てきました.
産地:埼玉県比企郡吉見町北吉見 町営公園造成現場(非売品).
以前どこかで購入した標本です.片麻岩のような岩石に入っていて,灰白色ないし灰色でガラス光沢を呈する部分が藍晶石でした.独特の青色は全くありませんでした.
急遽探して,四国三波川帯の藍晶石の写真を撮りましたので掲載します.
産地:愛媛県新居浜市大永山 トンネルの手前の沢(非売品).
筆者が学生のころに訪問した際に見つけた転石より,濃い青色の藍晶石が出ました.あまり大きな石ではありませんでしたが,白色のソーダ雲母や灰簾石などからなる母岩中に鮮やかな青色の柱状が観察できました.