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いくつかの研磨した石284

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研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石284

 

 滋賀県栗東市荒張 片山旧坑の満礬石榴石からなる石を一面研磨しました.前回坑口に行った際に,サンプルになりそうなのを2つほど探していました.坑口の前あたりは,鉛亜鉛を含んだ緑色岩系の石が多少ありましたが,持って降りるのが急斜面で怖く,足元に見える沢に無理やり降りて,川原の転石から2つくらいサンプリングしました.

 一つは前述の緑色岩系の母岩のもので,表面に二酸化マンガン以外の白い粉が付いていて,欠かしたところ結構広範囲に方鉛鉱が付いていました.成形が難儀しました.元の岩石は珪化した石灰質凝灰岩か,安山岩質岩のようで,非常に堅く,思いもしないところで割れたり,何度たたいても音だけで割れなかったりしました.緑色の部分は緑泥石のようで,繊維状の灰鉄輝石を伴っていて,灰白色―暗灰色の部分はもしかしたらぶどう石のような鉱物かもしれません.これらとは別に,割れ目を充填するように石膏が入っていた部分もあって,ここはちょっとした打撃で剥がれるようにして割れました.この石の含まれていた金属鉱物は黄鉄鉱(粒状)・黄銅鉱(不規則筋状)・角礫状の部分を交代した磁硫鉄鉱・赤褐色金属光沢の閃亜鉛鉱に,鉛灰色でギラギラした方鉛鉱が広範囲についていました.方鉛鉱を残したいので,いろいろ工夫して成形したところ,うまく手標本になりました.

 もう一つ二酸化マンガンの錆びの一面についている大きさの割には重い石を探して一つサンプリングしました.内部はばら輝石で,一部が赤紫色を呈する部分がありました.上の石はその石を成形したときに出た木っ端です.このマンガン鉱も非常に堅いですが,層状の構造を残しているものは,層理に沿って割れやすいので,緑色岩系の母岩のものよりかは幾分容易に割れてくれました.

 表面の黒っぽい部分は一見して亜鉛かと思いましたが,ルーペで観察すると満礬石榴石でした.ほかにも何か入っていそうなので,石榴石の出ている面を一面研磨しました.

 

(研磨)割るときに成形にやや難儀しましたので,磨るのは大変かと思っていたのですが,石榴石の粒間に挟まっているのはばら輝石ではなく,菱マンガン鉱で,容易に平滑になってくれました.石榴石のモース硬度が高いので,凹凸がでてしまうことを前提に中砥をしました.

 仕上げに青砥を使用しましたが,石榴石の部分のみ光沢が出てしまいました.石榴石の粒が小さいので,硬度差を利用して高さを調整するのは今回はやめました.

 

以下,顕微鏡下での観察です.

 

 

研磨面の拡大です.母岩はばら輝石で,母岩の裂罅を充填するように入っている石榴石の脈が打撃で外れたようです.表面を仕上げていると,一部からばら輝石が出てきました.黒っぽい粒状に見える部分が満礬石榴石で,ほかに灰鉄輝石のような短柱状で暗い灰緑色を呈する鉱物も入っていました.

 

 

満礬石榴石.濃い黄色なのか暗褐色なのか色が黒っぽく,もしかしたら灰鉄石榴石のような種かもしれません.

 

菱マンガン鉱.石榴石の粒間にあるやや粗粒な菱マンガン鉱で,ピンク色の濃そうな部分を探して撮影しました.左側の金属鉱物は磁硫鉄鉱です.

 

菱マンガン鉱がある層を磨り切ってしまって下からばら輝石が出てきた部分の拡大です.橙色の粉状の部分は水酸化鉄のような二次的にできる鉱物で,にわかにピンク色を帯びた黄色の部分がばら輝石でした.黒色部は満礬石榴石.白っぽい部分は菱マンガン鉱.

 

こちらは磁硫鉄鉱です.非常に微細な集合で一部に黄鉄鉱が見られました.黒色~黄褐色・褐色の部分は満礬石榴石.白色の下地は菱マンガン鉱.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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