石の話
丑谷の珪線石
珪線石(Silimanite)は紅柱石(Andalusite)と藍晶石(Kyanite)と同質三像の鉱物です.すでに標本となっている石は見やすくするために濃集している部分を割り出して,白色の繊維状が観察できるように工夫されています.図鑑なども同様にそれらの工夫がされていますが,野外で見たら,案外判定できないものだと感じました.
前々回の露頭訪問で,露頭横の転石をサンプリングしました.そのサンプルに珪線石を確認するべくいくつか割っていたのですが,図鑑やすでに標本になっているものしか見たことが無く,判定に難儀しました.
黒雲母の多い部分を鏨を当てて白色の粘土状になった部分を割って顕微鏡下で観察しました.薄片になった写真と見比べながら白濁した部分を観察したところ,白色の繊維状がようやく確認できました.
若干風化した部分.
風化した部分の拡大.
比較的新鮮な部分.風化して黄色くなったものは鉄分による染みか.黒色―暗褐色は黒雲母.