石の話
西宮市船坂鉱山の緑柱石
(非売品)
4~5年前に訪問した際にサンプリングした石を掃除していたところ,緑柱石が出てきました.はじめの1つは金欠で手放しました.それでもう一つ無いかと思っていたところでした.当時鉱石鉱物の鉄マンガン重石に脈石鉱物の脈性トパズと周辺岩石をいくつかサンプリングしたのですが,現場からの帰路が結構な険路なため量はありませんでした.
母岩は灰白色―白色でやや粗粒な石英脈で,分解しかかったような短い鉄マンガン重石を伴っていて,間隙に黄色い白雲母(絹雲母かも)を伴っていました.
この石を2~3時間程度,過酸化水素につけておいて,表面を洗って風乾させました.しつこい二酸化マンガンを金束子の小さいのでこすり取って,もう一度,水洗いし風乾させました.
乾燥後に表面に鉄マンガン重石以外の鉱物が何かないか,ルーペでくまなく観察していたところ,妙に青い鉱物を見つけました.石英の柱面の出ているわずかな間隙に黄色の白雲母を伴っていて,青色の鉱物の一部にはっきりとした柱面を確認できました.この部分が外れないように注意して,クリップを伸ばした針の先でゴミを取ったところ,青色の緑柱石が出てきました.
青色系統の色の緑柱石.結晶の長さはせいぜい0.7~0.8㎜くらい.顕微鏡下ではけっこう強い光沢をしていました.結晶の土台になっている部分も緑柱石で,柱状のものよりも濃色でした.
間隙の全体はこんな感じです.初めの写真は右端の結晶を横から撮影しました.黒っぽく写っているのは取り切れていないゴミです.この母岩に緑柱石は4か所ついていてすべてが顕微鏡サイズでした.
この緑柱石のついている石英は緑柱石だけではなく,紫色のホタル石もついていました.
ホタル石.肉眼で見た時はもっと鮮やかな紫色だったのですが,レンズを通してみるとこんな感じになりました.周りの黄色い部分は雲母類です.