顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真158
―セレンセン石―
産地:Kvanefjeld(Kuannersuit Palateau), Illímausaq complex, Kujalleq,
Greenland.(非売品).
Sørensenite セレンセン石(ソレンセン石)
[組成] Na4Be
[結晶] 単斜晶系.自形は単斜柱状・板状.断面が菱型になる.繊
維状・葉片状・簾状・放射状集合などになる.双晶あり.
[色] 無色・白色・乳白色・灰色・淡紅色・帯紫紅色・鮮桃色・褐
桃色など.
[光沢] 亜ガラス光沢~絹糸光沢.やや脂ぎった光沢に見えること
もあるよう.
[モース硬度] 5.5
[比重] 2.9~2.92
[劈開] 2方向に明瞭.
[条痕] 白色.
[蛍光] 長波紫外線灯で青白く蛍光.
[名称] デンマークの鉱物学者・記載学者の
Henning Sund Sørensen(1926-2013)
に因む.
[原産地] Kvanefjeld(Kuannersuit Palateau), Illímausaq complex,
Kujalleq, Greenland.
Mount Nakkaalaaq, Illímausaq complex, Kujalleq,
Greenland.
菫青石の次はセレンセン石にしました.随分前に紫外線灯下で鮮やかな赤色に蛍光するTugtupiteを購入しました.その標本に薄く淡いピンク色で,やや光沢の強い板状の結晶が脈になって白色の母岩を切っていました.当時は長波紫外線しか持っていなかったので,青白く蛍光するこの石の名称はわかりませんでした.ずいぶん最近になって,以前は透輝石か何かかと思っていたところ,知人のコレクターよりセレンセン石という鉱物だと教わりました.
組成式を見るとナトリウム(Na)にベリリウム(Be)と錫(Sn)が入っている含水珪酸塩鉱物で,錫が入っているため熱水の影響かなにかだとは思っていましたが,海外のサイトでも同様のことが記載されていました.霞石閃長岩質ペグマタイトを切る熱水脈の豆ガマに産する,ようなことがありました.色は白色か,俄かにピンク色を帯びた灰色で,光沢は絹糸光沢よりやや脂ぎった感がしました.
最近,立派な標本が出回っているようで,新しく購入しようかと迷っていましたが,どれも脈に沿って割ったような,母岩中の鉱物が脈になっているのを観察できるようなものが無いようで,今回はこの随分前に購入した標本を使用しました.
もともとはTugtupiteのラベルの付いた石でした.いまのところ原産地で2箇所挙げられている産地以外では知られていない珍しい鉱物のようです.上の写真の中で,灰緑色針状をなす鉱物はエジリン輝石です.
こちらは別の部位に入っていたセレンセン石です.まわりの暗灰色でぼやーっとした会場の部分は方沸石.
標本中のセレンセン石の脈は途中で途切れること無く,母岩を一周しているため,いろいろな見かけのセレンセン石を観察できます.この写真は脈の一部が肥大して空洞になったところの,セレンセン石です.板状が観察できました.黒っぽく見える部分はエジリン輝石,俄かにピンク色を帯びた半透明部はタグトゥパイト.
淡いピンク色のタグトゥパイトを伴う部分の拡大です.淡いピンク色の塊状部はタグトゥパイトで,セレンセン石はその上の俄かに黄色味を帯びた白色部です.