研磨石
いくつかの研磨した石280
先日行った京都府宇治市西笠取 笠取鉱山の重晶石を一面研磨しました.上の石は坑道の横の転石で,参考程度にサンプリングしました.割って成形するとサイズが小さくなってしまうので,比較的平坦な面を選んでそのまま研磨面にしました.下の石は川原にあった重晶石からなった転石です.
(研磨)チャートなどの硬い岩石は肉眼的には入っていないようで,2つとも比較的早く磨りあがりました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
一つ目の研磨石.
広く褐色になっているのは水酸化鉄による染みで,母岩は砂岩質で重晶石との間に,白色の粘土鉱物が挟まっていて,この付近にほかの岩石の破片が挟まっているようでした.
上下の灰色部が重晶石です.真ん中の白色脈が粘土鉱物で,帯黄真鍮色粒状が黄鉄鉱です.
塊状の重晶石の拡大です.粒が細かくて外形ははっきりしませんでした.文献では結晶もあるらしいのですが,今回は見ませんでした.
2つ目の研磨石
灰色―白色亜ガラス光沢部が重晶石です.帯黄真鍮色金属光沢部は黄鉄鉱です.時折挟まっている灰緑色―灰黄色の塊は頁岩の変質したもののようで,ここに集中して微粒の黄鉄鉱ができていました.
やや粒の粗い重晶石の拡大です.灰色―白色部が重晶石.帯黄真鍮色金属光沢部が黄鉄鉱です.
黄鉄鉱の多い部分の拡大です.粒の大きい黄鉄鉱が入っているところの重晶石は灰色のところが少ない傾向にあるようで,白色の重晶石で占められていました.
黄鉄鉱の集合のなかに黒色の粒が多く含まれていました.岩片とは考えにくく,なにか他の鉱物かもしれません.
笠取鉱山は重晶石鉱床なので,どこかに高バリウムの堆積物があるかもしれません.いちおう短波紫外線を照射してみましたが,とくに蛍光する鉱物は入っていませんでした.どこかにオレンジ色に蛍光するものがあればとおもっていたのですが,入っていませんでした.