顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真147
―リチオフィル石―
産地:Midnight owl mine, Independence, Gulch, White Pichaco district,
Yavapai county, Arizona, USA.
Lithiophilite リチオフィル石
[組成] LiMn2+[PO4]
[結晶] 直方晶系.自形は細長い角柱・針状・板状など.
放射状や塊状集合体になる.
[色] 白色・灰色・灰白色・淡褐色・淡黄色・黄色・淡桃
色・灰桃色・サーモンピンク・橙色・桃褐色・赤褐
色.鉄分の多いものは淡い灰緑色.錆びたり風
化してくると表面が二酸化マンガンに覆われるら
しく,黒色に変色した標本がある.
[光沢] 亜ガラス光沢~油脂光沢・樹脂光沢など.
[モース硬度] 4.
[比重] 3.29~3.50.
[劈開] {001}に完全.
[条痕] 白色~灰白色.
[名称] リチウムとギリシア語の友人(Friend)より.
[原産地] Fillow quarry, Branchvill, Redding,
Fairfield county, Connecticut, USA.
今回はリチオフィル石にしました.
和名の似た鉱物にリチオフォル鉱(Lithiophorite)がありますが,こちらは水酸化鉱物で,リチオフィル石は燐酸塩鉱物ですので別鉱物です.顕微鏡写真シリーズ5で紹介した「Triphyllite」の鉄(Fe)をマンガン(Mn)に置換した鉱物です.無水燐酸塩鉱物で比較的珍しいらしく,上記の標本を入手したあと,いろいろなところで別の産地のものを探しましたが,見つけられませんでした.
標本の産地は角閃石雲母片麻岩と石英雲母片岩を切る脈性ペグマタイト中の希元素を対象にした鉱山だそうです.母岩は黒色の二酸化マンガンで覆われていますが,長石や雲母からなっていてその中央に灰桃色―灰白色のレンズ状で,リチオフィル石が入っているのが確認できます.
レンズ状の部分の拡大写真です.
橙色部から白っぽく映っている部分もリチオフィル石です.光源の関係で淡桃色なのが白っぽくなっていました.
レンズの部分の拡大です.サーモンピンク色がリチオフィル石です.表面に白色繊維状の鉱物がついていますが,小さすぎて判別できませんでした.