研磨石
いくつかの研磨した石276
先日行った,京丹後市網野町三津 徳良山の安山岩です.山頂直下にある展望台より,九十九折れの道を下ったところに風化していない安山岩がたまっていて,転石を一つサンプリングしました.尾根筋から展望台まではよく風化していて,朝露に濡れているときなどはずるずる滑るくらいでした.風化した露頭に分離した長石があるかも..と期待して座り込んでしばし探してみたものの,粘土になっているらしくそういうものは見当たりませんでした.上の石は75㎜×60㎜の箱に合うように成形した標本です.成形時に出た木っ端を使用して一面研磨しました.
徳良山.依遅ヶ尾山山頂より.
(研磨)母岩はかなり風化しているらしく,カラ磨りで平滑になってくれました.母岩に入っている長石は,一見ガラス光沢で内部まで長石が残っているような感じがしましたが,磨ってみると一部が粘土鉱物に変質しているのか,母岩より柔いようで,そこだけが先に磨れてしまい,凹部になってしまいました.長石以外の部分に一見すると発泡して空隙になったように見える空隙があって,周りの母岩と感じが異になっているような気がした.もしかしたら,空隙の部分だけ捕獲岩なのかもしれない.黒色金属光沢の磁鉄鉱をよく伴っていて,空隙のところに八面体の結晶がよく見られました.ほかに黒色金属光沢のチタン鉄鉱,同じ色合いで外形のことなる赤鉄鉱が少量入っていました.
仕上げはいつもは青砥を使用するのですが,母岩が風化しているため,黄色い砥石で磨ると光沢が出ました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
研磨面はこんな感じでした.石基に細かい石英が含まれていて,全体的に色が淡いためか,このような色の岩石になっていました.褐色味は微量の水酸化鉄によるものかもしれません.
(未研磨面の観察.)
空隙や長石のやや分解したようなところに,粒は小さいですが,八面体を基調とする自形結晶がかなり多く観察できました.
空隙にみられる磁鉄鉱の自形結晶.黒色の磁鉄鉱の結晶以外の白色部はガラス光沢があるややはっきりとした外形のある斜長石以外は小さすぎて判別できませんでした.一部に鱗珪石のような鉱物が含まれている部分もありましたが,カメラを通すとボケてしまうらしく,うまく映りませんでしたので,掲載していません.
磁鉄鉱の拡大写真です.かなり拡大しています.八面体を基調とする立体で,これが組み合わさった聚楽状のものもありました.
あまり変質していないと思われる斜長石の拡大です.にわかに黄色味を帯びていました.