顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真142
―円筒錫鉱―
(表面)
(裏面)
産地:Santa Cruz mine, Poopó town, Poopó province, Oruro department,
Bolivia.(非売品)
Cylindrite 円筒錫鉱(円筒鉱・シリンダー鉱)
[組成] Pb2+3Fe2+Sb3+2Sn4+4S14
[結晶] 三斜晶系.葉巻のような円筒状.柱面に直角の断
面は年輪のように見える円形で,薄い層状のように
なっている.葉片状や貝殻状に剥離する.結晶は簾
状や放射状などに集合する.
[色] 鉛灰色・鋼灰色.錆びると黒くなる.
[光沢] 金属光沢.
[モース硬度] 2.5
[比重] 5.43~5.49
[劈開] {100}に完全.
[条痕] 黒色.
[名称] 円筒状の外観により,ギリシア語のKylindrosより.
[原産地] Poopó town, Poopó province, Oruro department,
Peru.(文献によって,Poopó townとSanta Cruz mine,
の2つ記載があった.)
次は円筒錫鉱にしました.錫の鉱物で,円筒状の結晶が魅力的な鉱物です.上の標本は10年以上前に海外の鉱物商からいろいろ纏めて購入した標本の中に入っていました.小さなサムネイルに入っていて,裏面に「Santa Cruz,Poopó」と書かれていました.どういう訳か産地名しか記入されていませんでした.外見から「円筒錫鉱」だということが分かりました.わざと書いていなかったのかもしれません.
割と珍しい鉱物で,南米を中心にアルゼンチンとボリビアに15箇所程度,欧州に3箇所程度見つかっているそうです.本邦にも出そうですが,宮城県のどこかに,円筒錫鉱らしい記載がありましたが,古い文献なので真贋ははっきりしませんでした.出るとしたら豊栄鉱山か尾平鉱山か豊羽鉱山だろうと思います.
茶褐色の母岩中の長い円筒状の金属鉱物が円筒錫鉱です.
もっと拡大した写真です.結晶がなんとなく曲がっているように見えます.
こちらは柱面に並行に割れた円筒錫鉱の断面です.
こちらも断面で,薄い葉片状に割れているのが確認できました.
周辺の鉱物です.資料にはウルツ鉱とありましたが,閃亜鉛鉱のような気もします.ほかに輝安鉱に似た外観でやや毛状集合になっている毛鉱と黄鉄鉱が付いていました.