顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真141
―クルトア鉱―
産地:El Dragon mine, Antnio Quijarro province, Potosi, Bolivia.(非売品)
Kruťaite(Krutaite) クルトア鉱
[組成] CuSe2
[結晶] 立方晶系.自形は八面体ないし八面体に近い立
体.
[色] 帯青鋼灰色・鋼灰色・黒色など.
[光沢] 金属光沢.
[モース硬度] 4
[比重] 6.53
[劈開] 1方向に明瞭.
[条痕] 黒色・暗灰色.
[名称] チェコの鉱物学者 Tomáš Josef Kruťa
(トマーシュ クルトア, 1906~1996)に因む.
[原産地] Petrovice, Nové Městro na Moravé,
Žďár nad Sázavou district, Vysočina region,
Czech Republic.
セレン(Se)を主成分とするややまれな鉱物という触れ込みで,購入した標本です.通常は塊状のことが多いようで,まれに肉眼的な八面体を示す,黄鉄鉱グループの鉱物だそうです.写真の産地はクルトア鉱の1㎜くらいの結晶が出たのが有名だそうで,ほかの産地のものは塊状だったり,電顕サイズにほかのセレン銅鉱系の鉱物が混じって出てくる鉱物だそうだ.
色は鋼灰色か俄かに青色味を帯びた鋼灰色で,錆びると黒くなるようです.写真の標本は母岩のサイズがキャビネットサイズに入る大きさで,塊状の本鉱物の方に矢印が振ってあった.結晶も付いていると指で指示されたところに,上の八面体の結晶が入っていました.
ほかの部分は,セレン銅鉱系の鉱物の分解でできた青色皮膜状ないしザラメ状のカルコメン石(Chalcomenite Cu2+SeO3・2H2O 直方)が薄く覆っています.
水色の部分がカルコメン石.背後の黒色粒状や八面体の一部が見られる部分がクルトア鉱.
産地は古生代の堆積岩類(主に頁岩)中の小規模な熱水鉱床で,鉱脈に粘土を伴っていたそうです.もともとは鉄鉱石を目的に,鉱脈を押した坑道掘りで稼業したそうですが,生産量は僅かで休山したという.