研磨石
いくつかの研磨した石274
京都府福知山市大江町仏性寺 河守鉱山向山鉱床群の角閃石中の磁硫鉄鉱からなる塊を一面研磨しました.前々回に少し触れました.河守鉱山の鉱石はだいたい滑石の中に入っているようで,今回の母岩とは異なっています.当初は滑石中と思っていたのですが,妙に繊維状で,一部に毛状になったような部分のあり,研磨することに至りました.
(研磨) 母岩全体が柔らかいと踏んで,磨り始めました.金属の多い部分は割と早くすり減り,角閃石の多い部分が硬かったようで,予想より時間がかかってしまいました.磁硫鉄鉱に黒色金属光沢の鉱物を伴っていて,黒い閃亜鉛鉱と思っていたのですが,磁力検査をしたところ磁鉄鉱でした.磁鉄鉱と磁硫鉄鉱しか入っていないと思っていたのですが,レンズ状の黄銅鉱も入っていました.
仕上げははじめ1000番手のペーパーで軽く磨ってから,青砥で磨ると光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
帯紅銀白色ないし銀白色金属光沢に見えるところの大部分が磁硫鉄鉱です.似た色で磁硫鉄鉱に埋もれて感じの異なる外形を示す鉱物がいくつか入っていましたが,鉱物名はよくわかりません.黄銅色金属光沢は黄銅鉱.青緑色繊維状は角閃石類.黄褐色で不定形の塊状のように見える部分は蛇紋石系の鉱物です.
黄銅鉱のレンズ.そばの銀白色金属光沢に見えるのは磁硫鉄鉱.レンズの外周から繊維状の角閃石が外に向かって成長しているのが観察できました.
磁鉄鉱のレンズの入っている部分の拡大です.顕微鏡で見ると虫食い状になっていて,諸所に黄銅鉱が入っている部分と抜けている部分が見られました.硬度の差で,先に磨りきれたとは考えづらく,もともと空隙になっていたのかもしれません.
角閃石類の拡大です.青緑色繊維状の角閃石で,肉眼での観察はリーベック閃石?と判定しましたが,どんなものでしょう.組成分析をしていないので,どの角閃石にあたるかはわかりません.