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いくつかの研磨した石271

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研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石271

  大分県杵築市山香町向野日野地 向野鉱山(日野地鉱山)の自然砒―ベルチェ鉱―ミアジル鉱―石英質鉱石を一面研磨しました.高速千円の時に訪問した際にサンプリングした石です.自身3度目の訪問で,輝安鉱や自然砒・ベルチェ鉱・ミアジル鉱などはサンプリングしたものの,当地の自然金というのが見たことなくて,これらの緻密な鉱石を磨ったら入ってるかも,という希望をもって一面研磨しました.

 当初は75㎜×60㎜の箱にピッタリ入るサイズだったのですが,酸化被膜を斫り取っているうちに半分に割れてしまい,片方を研磨用に回しました.

未研磨の面.

 

成形を失敗して半分の割れた.もう片方.

 

 半分に割れた割れ目を観察したところ,薄く自然銀でできていました.金もあるかも,と思って観察しましたが,この面にはついていませんでした.

 

 

 (研磨) 以前に鯛生星野鉱山の珪化した金銀鉱を磨ったとき,あまりの硬さに難儀しました.この石もかなり硬いと予想して磨り始めましたが,細かい輝安鉱が入っているせいか,かなり簡単にすれてくれました.仕上げはペーパーの800番で軽くこすったあとで,青砥で充分光沢が出てくれました.

 

 

(以下,顕微鏡下での観察です.)

 

 

研磨面はこんな感じです.細かい針状は輝安鉱ないしベルチェ鉱で,黄色部は黄安華などのアンチモンの二次鉱物です.細かい真鍮色は黄鉄鉱でした.

 

 

 

はじめの写真の左端の方に映っている黒色の脈の拡大です.黄色はアンチモンの分解物.灰白色は石英.真鍮色は黄鉄鉱.アンチモンの二次鉱物ができている脈の盤際に,黄鉄鉱とは異なる黄色の微粒が入っていました.北海道千歳鉱山の馬糞金みたいな外観で,ここに金が入っているのかもしれません.

 

研磨面の中央の晶洞に生えている輝安鉱―黄安華です.分解した輝安鉱は黄色不透明の鉱物に置き換わっていました.全部不透明かと思ったら,一部に透明感のある鉱物も少しは入っていました.かなり小さいですが,石膏の結晶を太くしたような白色透明の鉱物がこの近くの晶洞に入っていました.

 

 

次に,未研磨の面の拡大写真です.

自然砒.母岩の外皮を斫ったときに,ニンニク臭がしました.水洗いし風乾したうえで観察したところ自然砒でした.当地の本鉱はブドウ状や腎臓状に集合しているので有名ですが,ショボイものはこんな感じです.割ったばかりで撮影していますので,銀白色が残っています.錆びて若干分解してくると褐色味を帯びてきます.

 

ベルチェ鉱.ベルチェ鉱のついているところは改めて斫ったところではなく,サンプリングした時に剥がれたところです.若干黄色っぽく錆びていて,ベルチェ鉱の存在が判別できました.黄色っぽいところはアンチモンの分解物.

 

ミアジル鉱と紅銀鉱を含む部分.中央やや下にミアジル鉱,中央よりやや上に紅銀鉱の微粒がついています.

 

ミアジル鉱の拡大写真.中央の暗い鋼灰色がミアジル鉱.

 

もっとミアジル鉱を拡大したところ,ミアジル鉱に伴って紅銀鉱の粒が確認できました.

 

 


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