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いくつかの研磨した石251

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研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石251

 京都府船井郡京丹波町安栖里 鐘打鉱山の硫砒鉄鉱―スコロド石からなる石を一面研磨しました.先日,提供された石で京都離れした塊状の重い硫砒鉄鉱で,表面や間隙に細かいスコロド石がたくさんついているものでした.「割るなり,研磨すりなりしたら~」って云われて提供されたので,成形したうえで一部を研磨にまわしました.比較的最近まで稼業していたので,二次鉱物の類はあまり見られない現場です.石英脈中の鉄マンガン重石を稼業した鉱山で,粗い石英脈中に鉄黒色―濃赤黒色金属光沢のずっしりとした鉱石を産出していたそうです.

 鉱床の発見年代は不明ですが,江戸時代後期に園部藩によって銅鉱石を露天掘りされたことに近代開発が始まり,明治の始めに金鉱を目的に試掘され(高尾脈方面),その後は鐘打鉱山として稼業され,昭和50年代後半まで稼業された.現在は雑木に埋もれていて,遺構は総合事務所跡の土台,選鉱所跡のコンクリの土台,鉱体に当たっていないボーリングコアがたくさん転がっている採鉱課事務所横のホッパーの跡,コンクリで塞がれて脇から坑内水が流れる通銅坑,陽明脈に取り付いているのか,立入坑から延びるインクラインの跡・巻上室の跡,火薬庫の土台などが残っています.

 上の石は最近のものだそうで,林道がキレイになっているとかを伺った.

未研磨の面です.

 

 

 

(研磨) 硫砒鉄鉱が大部分で少量の石英を伴う木っ端なので,簡単に粗削りは終えることができました.硫砒鉄鉱がはやりやわらかいので,ここだけ磨りきれてしまい,凹んだ感じになってしまいました.仕上げは青砥で充分光沢が出ました.

 

 

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

 

銀白色金属光沢の部分が硫砒鉄鉱です.粒状に入っている硫砒鉄鉱の周囲には,特にほかの鉱物は肉眼的には含まれていないようでした.外形のはっきりしない硫砒鉄鉱は内部やまわりに黒色の閃亜鉛鉱を伴っている例がありました.黄鉄鉱は硫砒鉄鉱の近くには無く,少し離れた石英中に単独で入っていました.

 

比較的輪郭のはっきりしている硫砒鉄鉱の拡大です.虫食い状になっている硫砒鉄鉱がありました.

 

 

新鮮な硫砒鉄鉱の研磨面を顕微鏡撮影で写しているのですが,どうみても黄錫鉱のような色や光沢の部分があって,硫砒鉄鉱の色や光沢を異なるところが微細ですがありました.また,板状を思わせる輪郭のところもあって,微量ながらも砒鉄鉱のような鉱物を含んでいるのかもしれません.

 

(以下,未研磨面の顕微鏡下での観察です)

なんか,斑銅鉱がありました.かなり小さいです.粒の左側は石英中に硫砒鉄鉱の細かい粒が入っていて,その一部にありました.粒の右側の黄色っぽいキラキラした鉱物はスコロド石.

 

スコロド石.割って成形をしたところ2つのハンドスペシメンと木っ端が出ました.研磨は木っ端でしているのですが,それ以外の石の広い範囲についている,この石では普通の産状のスコロド石です.どこかにこの集合に伴って毒鉄鉱が入っていないか,くまなく探しましたが,入っていませんでした.

 

 

毒鉄鉱は入っていませんでしたが,肉眼的にみて,亜砒藍鉄鉱が入っていました.頂戴した時に「この石なら亜砒藍鉄鉱がはいっているで~」って言っていたのですが,本当に入っていました.人間の目は優れたもので,顕微鏡観察で肉眼で見た時は明らかに,長板状の微細な結晶が確認できたのに,カメラを通すと,どうもなんともボケてしまって,これくらいにしか撮影できませんでした.結晶自体はメッチャちっさいです.

 

 

 

 


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