いくつかの研磨した石221
表面.
裏面.
大阪府豊能郡能勢町山田 豊能鉱山のレンズ状の炭マンが挟まっていたので,ここがうまく見えるように裏表を一面研磨しました.上の石は5年くらい前に95m坑と呼ばれる坑口付近でサンプリングした石です.上の写真で下の方にレンズ状の炭マンが挟まっていて,これと同様の産状で,エメラルドグリーンガラス光沢を呈する,変色しづらい緑マンガン鉱を含んでいました.磨っていたら出てくるかもしれないという,憶測のもと磨り始めました.
(研磨)基本的に二酸化マンガンと炭マンからなっていると踏んで研磨を始めました.二酸化マンガンの部分が結構硬く,なかなか深いところまで磨れてくれませんでした.顕微鏡下で観察すると黄色っぽい微細な石榴石を含んでいました.
これの所為で硬いのか...と妙に納得しました.仕上げは青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
表面の拡大です.橙色の細かい粒状の部分が満礬石榴石.淡桃色が菱マンガン鉱.黒色は二酸化マンガンの鉱物.
2枚目の写真の下の方の拡大です.上の方の黄褐色繊維状の鉱物が,何の鉱物にあたるのか見当が付きませんでした.橙色の微細な粒状は満礬石榴石.黒色不定形塊状は二酸化マンガンの鉱物.淡桃色は菱マンガン鉱.黒色金属光沢の微細な粒は,若干の磁力があり,ヤコブス鉱と判断しました.黄橙色のやや光沢が強く透明度がある鉱物はマンガンスピネルのようです.
マンガンスピネルの粒の大きなものがありましたので,撮ってみました.黄橙色の部分がマンガンスピネル.黒色粒状がヤコブス鉱.淡紅色―白色が菱マンガン鉱.
ここから裏面です.表面のレンズ状の炭マンの部分のちょうど裏にあたります.橙色の満礬石榴石.茶褐色の粒状のマンガンスピネル.淡紅色の菱マンガン鉱が集合しています.石榴石を伴っている部分のマンガンスピネルの色が若干薄いのは石榴石に鉄分が取られているようです.
裏面の真ん中あたりにあるレンズ状の部分の拡大です.黒色部は磨り残りの二酸化マンガンの鉱物.茶褐色部がマンガンスピネル.黄橙色の満礬石榴石.淡紅色の菱マンガン鉱からなっています.これらの集合の中に,微細な赤褐色短柱状の鉱物の粒が入っていました.
裏面のはじめの写真の粒状の部分を拡大しました.淡緑灰色のテフロ橄欖石を含んでいました.それに伴って帯紫灰色の粒状の鉱物も含まれていました.小さすぎるので何とも言えませんが,アレガニー石か園石のような鉱物かもしれません.
もっと拡大しました.もっと細かい粒で緑色っぽいものも入っていました.