露頭めぐり
斑糲岩~変斑糲岩の露頭
京都府綾部市市志
常願寺の不動の滝を辞して,舞鶴を経て菅坂峠から綾部入りしました.峠を越えてしばらく南下したところに,市志方面の分岐となった.この付近の地質図を眺めていると,市志在所の南東方に大きな超塩基性岩体があって,その周りに幾つか,小さい岩体が在所の近くに点在していた.谷に入って川の転石を調べたら面白そうなので,少し入ってみました.
谷沿いに1㎞ほど入ったところに,橋があってその横から川原に降りれました.橋の名称は「どんど橋」.転石は斑糲岩が多いようで,白色の脈が母岩を切っているのがよく見られました.
橋の傍の法面に露頭がありました.比較的最近切られたようでやや新鮮な破面が出ていました.
どんど橋の傍の露頭.
露頭一部の拡大です.繊維状のように見えるのは,斑糲岩の割れ目が蛇紋岩化したもので,この面は多少風化していました.紅白のバーの間隔は約20㎝.
風化部の拡大.茶褐色―暗褐色粒状はやや風化した角閃石類.
同じ露頭の別の部分です.斑糲岩~変斑糲岩を切る脈が出ていました.バーの間隔は約20cm.
白色脈の拡大です.脈の周囲は蛇紋岩化しているのか表面がスベスベしていました.ぶどう石かパンペリー石のような鉱物の集合かと思っていましたが,顕著な劈開があり,曹長石でした.
露頭の下に落ちている転石をサンプリングしました.以下の鉱物・岩石がありました.
斑糲岩.角閃石は変質しているようです.中央上の方から下の方へ無色透明な脈が切っていて,曹長石脈でした.
蛇紋岩.露頭の上の方にあったもののようで,下の方にはありませんでした.斑糲岩から変質したもののようです.
チタン石.斑糲岩を切る白色脈を磨っていたら下の方から出てきました.傍にあるのは磁力があり,磁鉄鉱でした.研磨中に撮影したため,研磨傷がついています.顕微鏡下での撮影です.
斑糲岩~変斑糲岩を切る曹長石脈の一部に空隙があり,曹長石の結晶が入っていました.かなり小さいですが光沢が強く,成形時に気が付いて残しました.表面を少し洗って風乾させてから顕微鏡下で撮影しました.
橋の横の露頭を辞して,200mくらい上流に行ったところに,最近の大水で崩れたのか,露頭が出ていましたので,観察しました.
崩壊現場?の露頭.土壌や粘土に覆われた現場でしたが,下の方に構成するやや新鮮な斑糲岩がありました.
露頭の拡大です.緑閃石のような鉱物が脈状に入っていました.バーの間隔は約20㎝.
上の写真のすぐそばのあった斑糲岩の拡大写真です.(直写し)
この露頭では,1つだけ転石をサンプリングしました.白色の脈が斑糲岩を切っていて,その一部が空隙になっていました.
斑糲岩を切る白色脈部の拡大.白色脈部はこちらも曹長石でした.
さらに拡大.帯青灰白色半透明部が曹長石です.表面にぶどう石様の鉱物が付いているようにみえましたが,小さすぎて判別できませんでした.
このあと,帰途中にも滝を一つ見に行きました.