地堂鉱山のパイロクスマンガン石
昨日帰る少し前に,2階の片付けをしていました.以前にサンプリングしたサンプルなどを置いているのですが,下の箱の方を入れ替えていたところ,ずいぶん前にサンプリングした地堂鉱山のサンプルが出てきました.
地堂鉱山は京都丹波の中央付近にあり,西にチンゼン斧石が多産して有名になった玉岩鉱山と,東に稼業当時に二酸化マンガンを1万トン近く産額を挙げた道奥谷鉱山の中間くらいに位置しています.玉岩地蔵尊に至る林道に沿って平行軌道の跡が残っていて,それに沿うように坑道が設けられていました.ズリは平行軌道と林道との間のわずかな斜面に少し残っていて,そこから自然銅・石墨(非晶質炭素物質)・黄鉄鉱・閃マンガン鉱・石英・クリプトメレン・横須賀石・ハウスマン鉱・ヤコブス鉱・パイロファン石?・パイロクロアイトorファイトクネヒト鉱・菱マンガン鉱・方解石・孔雀石・石膏・テフロ橄欖石・アレガニー石・土須石?・チンゼン斧石・バラ輝石・パイロクスマンガン石・カリオピライト・ネオトス石・珪孔雀石・氷長石などが見られました.またマンガン鉱床とは直接関係ないとは思いますが,石英脈より鉄マンガン重石の産出を見ています.
サンプルはチョコ―レート色のハウスマン鉱の層に接して石英脈があり,石英脈とハウスマン鉱層の盤際にパイロクスマンガン石がその間を埋めていました.結晶質のようで,周囲が炭酸塩になっていないか,確認したところ菱マンガン鉱―方解石が埋めているようでした.
これなら希塩酸で処理すると結晶が得られるかもしれないと思って,急遽用意して処理しました.
(以下は,希塩酸処理後に顕微鏡下で撮影しました)(非売品)
かなり小さいですが結晶が出てきました.
濃いピンク色部がパイロクスマンガン石.淡いピンク色は菱マンガン鉱.帯黄白色は石英.
こちらは方解石が充填していた部分についていた結晶です.
この系統の鉱石は鉱山にはほとんど無く,その後に訪問した際にも探しましたが,一片もありませんでした.局所的だったのかもしれません.