粒状のハウスマン鉱
Loc:滋賀県高島市朽木地子原 立戸鉱山産(非売品)
昼から,整理を兼ねて掃除していました.その際に出てきた石を標本として成形していました.上の石はその時に出た木っ端です.木っ端の一部に黒色粒状のハウスマン鉱が入っていて,周囲が劈開の判る菱マンガン鉱で薄く覆われていましたので,結晶が入っているかも..と塩酸で処理してみました.
全体は褐桃色塊状のアレガニー石からなる比較的高品位鉱石で,その中に黒色粒状のハウスマン鉱が入っていました(上の写真の黒色部).写真の左端に見えるチョコレート色の部分もハウスマン鉱で,一つの石から2種類の産状のことなるハウスマン鉱が共存しています.灰緑色はテフロ橄欖石・淡紅色は菱マンガン鉱でした.
反応を早めるために熱塩酸を用意して,石と塩酸の反応を見ながら処理しました.あまり濃い塩酸で処理するとハウスマン鉱自体が溶けてしまいそうなので,10%のものを使用しました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
黒色部がハウスマン鉱.一部に海外産の標本のような階段状の条線が確認できました.
2枚目の写真の拡大です.中央やや右に三角形の面が確認できました.中央やや上にある光沢の強い鉱物は重晶石です.
当初はブラウン鉱だと思っていた黒色粒状鉱物は,その後に行ったXRD粉末回析でハウスマン鉱と判明しました.ほか2~3の不明な粒状鉱物が母岩から出てきて,何の鉱物に当たるかは,今後の課題です.