板チタン石 Brookite
Loc:京都府与謝郡与謝野町温江 産(非売品)
先日,与謝野町方面に滝巡りに行ったのですが,登路崩壊で現場にたどり着けませんでした.すんがはらの滝のある谷の上流に落差約7mの滝が見つかったのは幸いでした.手前の林道にも約8mの滝がありましたが,ほぼ水が無くただの壁でした.この付近は河守(大江山)超塩基性岩と宮津花崗岩との境界付近のようで,谷にいろいろな岩石が落ちていました.滝のある谷は花崗岩側のようで,灰白色に近い雲母花崗岩がみられました.ほかに異剥輝石岩の変質したものや,マイロナイト質の角閃岩(斜長石の部分が桃色を呈する桃簾石に変質したものを含む),そして上の写真の石を含む曹長岩がありました.曹長岩は大江山連峰の西側では初めて見ました.緑色の透緑閃石以外はホルンフェルスのようになったのか粒が揃っていました.件の曹長岩を少しサンプリングしました.曹長岩中の鉱物は前述の透緑閃石・鋭錐石?・ルチル・板チタン石などが含まれていました.正常ジルコンもありそうですが,いまのところ確認していません.上の板チタン石ですが,成形時に柱状結晶が見えましたので,60㎜×40㎜×20㎜の小箱に入るサイズに成形して標本としました.はじめは光沢が強いのでルチルかと思っていたのですが,顕微鏡下での観察で,板状になることと条線が入っているので,板チタン石と判断しました.
帰途中にも以前から気になっていた神宮寺峠南にある銅の旧坑に寄って見ました.文献によって神宮寺峠や三国峠とも呼ばれる峠ですが,この南の沢に降りたときに偶然に石英脈を見つけました.上流にもパラパラ落ちていて,支流に旧坑がありそうでしたのでチェックしていました.今回に石英脈の転石を追って,沢を詰めたところ尾根の南向きの旧坑(崩土で閉塞している)と,そこから20mほど下に大切坑と思われる坑口(こちらも崩土で閉塞している)を見つけました.坑口より上流の沢に石英脈の転石は無かったので,おそらく転石の出元はここかと思われます.大切坑と思われる坑口の前は鉱内水でヌタ場のようになっていて,この付近に石英の転石が比較的多く見られました.鉱石鉱物は2種類しかありませんでした.黄銅鉱と磁硫鉄鉱,脈石に石英・緑泥石・白雲母などでした.石英脈の転石とは別に脈石としてグライゼン(英雲岩)があってタングステンを期待しましたが,見つけられませんでした.