鉱物の顕微鏡写真66
―Native Lead 自然鉛―
Locality:Garpenberg Norra mine, Garpenberg, Hedemora, Dalarna county,
Sweden.(購入品で非売品)
Native Lead 自然鉛
組成:Pb 立方晶系
色:鉛灰色・青灰色・灰色金属光沢.錆びると表面は白くなる.
光沢:金属光沢.被膜状や不定形塊状になることがある.
モース硬度:1.5
比重:11.37
劈開:無し.
条痕:灰色・灰白色.
更新に1月開いてしまいました.今回は自然鉛です.10年以上前に購入した標本です.単体の鉛という組成の元素鉱物で,母岩の裂罅にへばりついている感じがします.母岩は黒色の雲母類や灰色の石英からなっています.産地は北欧の鉛亜鉛銀銅などを稼業した鉱山です.最近になって北海道の砂鉱からの産出が知られるようになって,身近になった鉱物です.
(以下,顕微鏡下での観察です.
鉄板が曲がったようになっている灰白色部が自然鉛です.黄色っぽい部分は石榴石類です.
別の角度から.箔状になっていて反り返っているようになっている部分が自然鉛.
2枚目と3枚目の写真の周辺を映したものです.
こちらは別の部分の拡大です.錆びたアルミホイルのような部分が自然鉛です.
石榴石を伴っている部分の拡大です.一部に石榴石と似た色の閃亜鉛鉱を伴っています.写真中央よりやや右上の反射しているように見える部分が自然鉛です.
(以下は自然鉛以外に,この標本で確認できた鉱物の顕微鏡観察です.)
白色―灰白色の石英以外にポツポツと入っている黒色の雲母類です.ほかに白雲母もついていました.
方鉛鉱.標本の側面に少しだけ見られました.劈開が観察できましたが,かなり小さいです.
かなり小さいので見づらいですが,石榴石類です.石榴石の種類ははっきりとは判りませんでした.
自然鉛の付いている面を,くまなくルーペで観察していると赤っぽい微細な部分があり,検討したところリサージ(Litharge PbO)と呼ばれる酸化鉛の鉱物でした.赤橙~黄橙色の部分です.現物はかなり微細なものです.
それから,何か光る鉱物は付いていないか,手持ちの短波紫外線灯で,確認しました.
マンガン方解石が脈状で入っていたらしく,赤く蛍光しました.写真右下辺りに黄緑色の鉱物が付いていて,文献を確認したところ海外産のリストの欄に珪亜鉛鉱が記載されていました.ほかのHPも確認したところ当地では珪亜鉛鉱を産しているらしいということが分かった.
ほかに上のように緑閃石が入っていました.左下の青白く写る部分は不明で,案外はっきりと写っていますので,ホコリかもしれません.
表題の鉱物だけではなく,いろいろ付いていて楽しめた標本でした.
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